「不妊治療のやめどき」を考える。

こんにちは、女性の幸せな生き方について取材・執筆をしている、ライターの尾越です。

妊娠を望む夫婦が医療機関で治療を受けることを「不妊治療」と言います。
排卵日にタイミングを合わせる方法から体外で精子と卵子を受精させる体外受精まで、その内容は多岐にわたります。

日本で体外受精によって生まれた赤ちゃんは、2013年の1年間では43000人。24人に1人で、全体の出生数の4.1%にあたります。

2016年1月に発売された『不妊治療のやめどき』という本を読みました。
著者は、ご自身も不妊治療の経験を持ち、現在は不妊体験者を支援するNPO団体「Fine」の理事長を務める松本亜樹子さんです。

本のタイトルを見て、ドキッとしました。
治療を始める時は、誰もが子を持つ未来を思い描きます。
しかし、治療を受けても妊娠に至る確率はそう高くはありません。実際には子を持たずに治療をやめる夫婦も多くいます。

望んだけれど、子どもを授からなかった女性たちの、治療の後の人生はどんなもの?

夫婦ふたりの時間を大切に生きている人。
自分の「使命」を仕事の中に見つけた人。
養子縁組や里親として子どもを育てている人。

この本では、16人の女性の多様な「その後の物語」が紹介されていました。

■不妊治療の「ゴール」とは何なのか?

30代前半に結婚し、不妊治療を受けたものの、妊娠には至らなかった松本さん。
治療を「やめる」と決心して病院には行かなくなったけれど、「当時は夜になると毎日泣いていた」と言います。
治療を続けるのも、やめるのもつらい。
そんな松本さんを救ったのは、自分自身に言い聞かせたこんな言葉だったそうです。
(治療を)やりたくなったら、またやればいいじゃん
この言葉で、とてもラクになった。
「病院に行きたいと思ったら行けばいい。でも今日は行かない」
そう思い続けて今に至る。
だから、
私はまだ、休憩中だと思っています
そう言って笑いました。

不妊治療の「結果」とは何でしょうか?
松本さんは問いかけます。
「妊娠」だけでしょうか?
だとすると、妊娠しなかった女性は、結果を得られなかった人なのでしょうか?

本にはこう書かれています。

『「妊娠はしなかった」。そして「今は夫婦2人で暮らしている」。さらに「まあ今のところ、2人で仲良く、そこそこ楽しく、毎日笑って暮らしている」。
これが、私たちの不妊治療の「結果」なのです』

そして、こう続けます。

『「結果を出せなかった」患者で終わるのと、「今の生活という結果を得た」のとではその後の人生のスタンスが随分違ってくるのではないかと思います』

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