カレーほーろー記 第3回 冷ごはんとカレー(お店は宗像市の「路」を紹介)

 今は昔、私が子どもの頃45年ほど前には炊飯ジャーどころか「ただのジャー」も家にはありませんでした。

 ただのジャー、ってなんだ。

 

 

 

 

 初期のジャーは、こんな感じです。レトロな柄です。

  炊飯器で炊いたごはんを電気で温めたジャーに移して使ってたんです。そういえば、昔の洗濯機も同様に不便でした。

 今の洗濯機は洗う水槽も脱水も同じ空間で行いますが、これまたその昔は別々、さらにさかのぼれば、脱水なんて出来ず、濡れた衣類を横にある手動の手回しのローラーで絞ってたんです。同世代以上じゃないと、わからんでしょうねえ。

 話がそれました。ジャーは、やがて進化して、炊飯したごはんをそのまま保温できるようになったんです。今は当たり前のことですが、当時は画期的でした。

 しかし、この文明の利器、欠陥がありました。時間が経つにつれ、ごはんから何ともいえない臭気がするようになってたんです。ぬかくさいにおいといいますか。記憶は元都知事の方のように不確かですが、保温時間は8時間ほどと説明書にも書いてたような気がします。でも、8時間かからずに、においはしてました。最初気づいて家族に言うと、「そげなことは無い」ときつく怒られました。その家族もやがて状況を理解し、一定時間経つと、コンセントを抜き、保温をやめるようになりました。

  「ぬかの匂い」だとすると、元々米にあるぬか成分が原因ではないかと思い、自分で炊く時は、徹底的に水が透明になるまで米を研いだりもしました。多少は良くなる気がしましたが、やっぱにおいました。

 小学校高学年の頃には、好きなカレーを作る時には、自分で料理もするようになってたんです。

 

 ずいぶん前置きが長くなりましたが、今回は「冷ご飯にかけて食べるカレーのB級な旨さ」がテーマです。

 本来は、熱いカレーを、熱々の炊きたてごはんにかけて食べるのが常道です。当然、たいていのお店がそうで、たまにぬるいカレーを出す店があれば、食べログ評価落ちるの明らかです。

 そんな当たり前の世界と一線を画すのが冷えた、あるいはなまあったかいごはんにカレーをかけて食べた時の、「えもいわれぬ味わい」です。

 私は小中学生の頃、土曜の午後しばしば「冷飯カレー」をひとりで食べてました。

 前の晩に作ったカレーってのは、たいてい翌日までけっこうな分量が鍋の中に残ってます。で、学校が「半ドン(半休のこと。死後ですね)」の12時半から1時頃に戻ってきて、好きなカレーをコンロで温めて、電源の入ってないジャーに入ったやや生温かいごはんにぶっかけ、2杯から時には3杯いただくんです。

 カレー自体一晩置くと、出来たての鋭さがやわらぎ、マイルドになってます。そのルーと熱くないカレーの絶妙なコンビネーション。前の晩食べたものとは別物。これはこれでイケちゃうんです。

 「何をバカなことを」と言う方もいるでしょうが、私がこの話をすると、何人かの人が賛同するので、的外れでもなかろうと思います。ま、だいたい自分より年上の人ですが。

 

 

 私は、もともと弁当とかおにぎりだけでなく、冷ご飯が好きなので、とくにそう思うのかもしれません。変態扱いされるでしょうが、インスタントラーメンに冷ご飯をぶち込んで食べたりもします。熱いご飯しかなければ、わざわざ冷蔵庫で冷やすこともあるほどです。

 

 今回はどうも話が横道に行きます。

 今の炊飯ジャーは、ものすごく高性能ですし、においが気になったことなど全くありません。

ゆえに、昔のように「カレー【冷】ライス」を味わう機会はめっきり減りました。

 が、きょうは家でカレー作ったんですが、ジャーの中には中途半端な量のごはんが残ってたんで、それをどんぶりに移して、新たにごはんを炊いてもらいました。

 鶏がらと月桂樹の葉、にんにく、しょうが、それにだしのパックを入れて煮込んだ出汁を入れて作ったカレーは、市販のルー使用ではあるけど、まあまあの味でした。

 

 辛さが足りない分は、缶のカレー粉で補い、さらに魔法の「カレーノ」という小びんのスパイスソースをかけていい感じです。

 あまり売ってないヘルシーっぽいこのルーに、

 定番のこれと、余っていた他のルーを足して作りました。

 一杯ついで満足して食べてると、「先に冷ご飯を食べてよ」の声。久しぶりに冷ご飯を継ぎ足してカレーソースも継ぎ足して食べてみました。熱いごはんと半々のせいか往年の思い出は蘇りません。あの味は、土曜の午後ひとりで「今から部活かよう」とかしょぼくれた気持ちで食べたからこそだったのかもしれません。

 そういえば、中一か中二の時に、猪木対モハメド・アリの試合が土曜の午後あって、部活の顧問の先生が自分が見たいものだから、「きょうは練習中止」と言ったうれしさを思い出しました。その日、カレーは食べなかったと思いますが。

 ああ、さっき食べたばっかなのに、また食べたくなってきました。

 話変わって。。。

 先週末、「サニックス杯国際ユースサッカー大会」という高校生世代のサッカー大会があり、一日だけ見に行きました。福岡の北東部・宗像市にあるグローバル・アリーナという立派なスポール施設で開催され、無料で全国の有名チームの有望選手のプレーが見られます。

 サンフレッチェ広島ユースを破って優勝した市立船橋高校のメンバーです。すごいテクニシャン揃いです。小柄で一年生主体のチーム、「イチフナ」が愛称のようですが、ジャージとかにも「ICHIFUNA」と書いてます。私の草サッカーチームの名前は「ニシユナ」というので、似てて親近感が湧きます。

 1時間以上かけて宗像まで行ったのには、もう一つ理由があります。地元の有名店「路(みち)」のカレーを店舗で食べたかったんです。

 「店舗で」というのはお店に常連として営業の合間に通ってる方や地元出身の後輩から持ち帰りのルーをいただいて、家では食べたことがあったからです。元々は、福間駅というJRの駅前で営業してたそうですが、移転で国道3号線沿いに移りました。

 「カレーづくり45年」、これまたスゴイ老舗です。揚げたての天ぷらもあるあたり、タダ者ではありません。

 入口です。左右の扉に全く同じことが書いてあるのは珍しいです。

 メニューを見て、食券を買うシステムです。カレー以外のありますね。ブタ君がかつ丼の横で踊ってます。

 ついついカツがあれば、カツカレーにしちゃいます。日本的カレーととんかつの組み合わせは、明治維新以降の日本の食べ物界屈指の発明だと思います。

 薬味は、こんな感じ。王道ですが、らっきょうだけありません。

 いただきます。

 さくさくした薄めのかつに和風テイストのカレーがからまります。厚いかつも魅力的ですが、薄いのはまた味がしみこみやすくて、よか味わいです。辛口ということですが、さほどピリピリしません。さらっとし過ぎず、ドロドロし過ぎず程よい仕上がりで食が進みます。

 いつもカツにソース(ウスターやとんかつソースのこと)かけるか悩むんですが、今回お店で食べるの初めてなので、素材をまんま味わうべく、かけませんでした。正解でした。

 ところで、私はいつも思うんですが、かつカレーのかつの下のごはんにはルーがかかってません。それで、食べ終わりの頃にルーが足りなくなってほとんど白ごはんに近い状態で5、6口食べざるを得ないことがままあります。そこで、ごはんにルーをかけた後にかつを乗せ、さらにその上にルーという形にしていただけると、大変うれしいのですが。ルーの分は値段を上乗せになるかもしれませんが。カレー店ご経営の方読んでらしたら、ご検討いただければ幸いです。

 今回、お店に食べに来てやっぱり良かったです。家で持ち帰りを食べるのも悪くないけど、お店で働く方の息づかい、他のお客さんの会話、店全体から伝わる空気を肌で感じながらの「地産地消」。これだと思いました。

 冒頭からのテーマの「冷ごはんにかけるカレー」、あれも自宅という空間限定のおいしさかもしれませんね。

 

 

 

※情報は2017.3.21時点のものです

久留仁 譲二(くるに・じょうじ)

 カレーを食べて半世紀。食べるのも、つくるのも、関連本を読むのも、レシピ番組を見るのも大好き。「家のごたる」タイプから激辛インド風まで万能に食べこなす。

 でも、パクチーは苦手。

カレーに限らず、子どもの頃の味覚から抜けられない。ハンバーグ、卵焼きからも離れられない。

アラジンの魔法のランプみたいな容器からカレーをごはんにかけるのが夢だったが、家では一度もやったこと無し。

ジョージ・クルーニーと同い年。

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