神職として心を尽くす 高山博子さん

太宰府天満宮にこの春、16年ぶりに女性の神職が誕生しました。

神職とは、「神社に奉仕して神事に従う者」(広辞苑より)。

神職というと男性のイメージがある方も少なくないと思いますが、そんなことはありません。

今回インタビューしたのは、太宰府天満宮の神職、高山博子さんです。

Q)いつごろから神職になりたいと思ったのですか?

A)母の実家が神社なので幼いころから神社や神事を身近に感じて育ちましたが、私も最初は女性が神職になれるとは思っていませんでしたし、高校時代は外交官かスポーツキャスターになりたいと思っていました。神職を志したのは30を過ぎてからです。

Q)神職になる前は企業に勤められていたそうですね。

A)はい。大学時代は体育会応援部のチアリーダーの活動に励み、卒業後は外資系IT企業や金融機関に勤務していました。

Q)転機が訪れたのはいつですか?

A)母の実家が代々神社の宮司を務めているのですが、4年前に当時宮司を務めていた叔父が急逝したときです。誰に言われたわけでもありませんが自然と、神社を守るために私も何かお手伝いが出来ないかと考え、まずは会社を1カ月休んで國學院大學の神職養成講習会に通い神道の勉強を始めました。

Q)学んでいくうちに神職に対する思いが強くなったんですね。

A)そうですね。その後転職もしましたが、もっと神道を勉強したいという思いが募り、昨年春に國學院大學の神道学専攻科(一年制)に入学しました。そこで神道というのは、学べば学ぶほど奥が深いと感じましたし、目先の5年、10年ではなく100年や1000年のスパンで考えるスケールの大きさに感動しました。なにより、伊勢神宮や明治神宮で実習も重ねていくうちに「いつか神職になりたい」という気持ちが確かなものになりました。

Q)仕事を辞めることには大変な勇気がいったと思います。

A)仕事を休んで大学に通ったときもそうですが、結構、勇気がいりましたね(笑)。

でも、女性として自分の人生を長い目で見つめなおしたとき、「自分の好きなことをやりたい」「今しかできなことを思い切ってやろう」と思うようになったんです。特に30を過ぎた頃、自分の生きるべき道は何だろうとすごく悩んだ時期がありました。仕事をしているときの自分の魂は活き活きしているのかなと考えたり。でも今は、神様のおそばで心の底から使命感をもって臨める仕事をさせていただき、ありがたい気持ちです。神職としてご奉仕させていただけることに日々感謝です。

Q)普段はどのようなお仕事をしているのですか?

A)本殿でのご祈願の斎主、参拝者の祈願受付や御朱印帳を書くこと、祭典ご奉仕やその準備などが主な仕事です。夜間の当直がないこと以外は男性神職と同じです。

Q)16年ぶりの女性神職としてプレッシャーはありますか?

A)特にプレッシャーというものは感じたことはありませんし、楽しくご奉仕をさせていただいているのは先輩方やまわりの皆様のお陰様です。私が神社のためにできることを考えたときに、女性だからこそ伝えていけることがあると思いますので、しっかりと神社や神道について、また日本文化の良さを伝えていきたいと思っています。

Q)未来の自分へメッセージをお願いします。

A)大学でチアリーダーをやっていたとき、後輩に佐藤真海さんがいました。2020年東京オリンピック・パラリンピック招致委員会プレゼンンテーターとしてスピーチしたパラリンピックの陸上選手です。彼女の頑張りには大学時代から刺激を受けています。私もいつか、世界に日本の素晴らしさを伝えたいと思っているので英語力を磨かねばとそのスピーチに刺激を受けました。日本そして世界の多くの人に神道の奥深さを伝えられたらと思っています。

【編集後記】

早稲田大学政治経済学部を卒業後、大手外資系IT企業に勤め、太宰府天満宮の神職へ―。それだけ聞いても「すごい!!」と思いますが、高山さんに実際に会い、お話を伺うとその魅力がさらに深まりました。「清々しい人」という言葉がぴったりの女性です。高山さんのポリシーは仕事に対しても、神様に対しても、参拝者に対しても「心を尽くすこと」だそうです。神職とは神と人をつなぐ役割を担っていますが、高山さんは神職になるために生まれてきたようなオーラがありました。神と人、日本と世界、人と人をつないでいかれる女性だと思います。

(文・一木朋子 写真・井上まき)

※情報は2013.12.28時点のものです

高山博子さん

太宰府天満宮の神職。

http://www.dazaifutenmangu.or.jp/

福岡の好きなところは?
お祭り好きでおもてなし好きの人が多いところ。大好きな場所は志賀島。神社、祭り、島の人たち、海と山すべてです。1周10㎞の島を4周してフルマラソンのレースに向けて最終調整することもあります。

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