川村元気さん「四月になれば彼女は」福岡で出版記念トークショー

自身の小説「世界から猫が消えたなら」が映画化され、大ヒットアニメ映画『君の名は。』のプロデューサーを務めるなど今最注目の川村元気さんが、2年ぶりとなる最新作「四月になれば彼女は」を出版。11月4日に発売され、既に10万部を突破する話題作となっている中、12月11日に福岡市博多区のHMV&BOOKS HAKATA(博多マルイ6F)で出版記念のスペシャルトークショーが開催されました。

(左から)斉藤ふみさん、川村元気さん、石井朋彦さん

(左から)斉藤ふみさん、川村元気さん、石井朋彦さん

ゲストは、アニメーション映画プロデューサーで「自分を捨てる仕事術」の著者 石井朋彦さん。司会は、KBCテレビ番組「ドォーモ」やラジオのパーソナリティーとして活躍中の斉藤ふみさんが務めました。

文藝春秋から11月に出版された「四月になれば彼女は」は、結婚することが決まっている主人公の男性のもとに、かつて一番好きだった彼女から手紙が届く場面から始まります。彼女はなぜ今になって手紙を書いてきたのか、結婚相手を本当に愛しているのか。ここから主人公の失った恋に翻弄される12カ月がはじまります。

小説を書くために、「100人くらいの人に恋愛についてのインタビューをした」という川村さん。恋愛相手がいないと嘆く人、結婚後は愛が情に変わったと語る人・・・。いろいろな人の話を聞いているうちに、現在進行形で熱烈な恋をしてなくても、誰もが10代のころの恋を瑞々しく語っている様子に気づいたそうです。あの頃の気持ちはいったいどこへ消えたのだろう。そうした問いを小説という形で証明しようしたのが「四月になれば彼女は」で、ここから「『恋愛がなくなった世界』で、それを求めてもがく男女の物語」が誕生したそうです。

司会の斉藤さんが「読んでいると腹が立って仕方がなかった。ここまで愛について書いてあって、しんどくてつらかった。自分が失ってしまったものに気づかされるような作品でした」と感想を語ると、川村さんは「女性の読者からは、腹が立ったとか、号泣したとか、多様な感想をいただいていますが、僕は『女の人が今求めているのが何か』ということが分かるような小説にしたいと思っていました」と話し、小説を書く自身のことを次のように表現されました。

「たとえば、多くの人が利用する駅前のポストに、ある日突然クマのぬいぐるみが置いてあった。『なんで?』『誰が置いたんだろう?』と気になるけれど、誰も何も言わず気が付かないフリをする。小説を書くという僕の仕事は、ポストの上にあるクマのぬいぐるみを取って『誰のですか?』と言うこと。みんなが気付いているのにつまびらかにしないことを言葉にして伝えることだと思うんです」

また、小説を書く面白さについては、「思いがけず綴ってしまう言葉に自分で驚く」ことだと話し、小説「四月になれば彼女は」の中に出てくる「私たちは愛することをさぼった。面倒くさがった。些細な気持ちを積み重ね、重ね合わせていくことを怠った」という言葉については、「自分で書いて自分でギョッとした」というエピソードを披露してくださいました。

「四月になれば彼女は」の本の帯には、俳優で音楽家の星野源さんが「イノセントかつグロテスクで、ずっと愛を探している」という言葉を寄せていますが、石井さんは「優しさとグロテスクさを持った人間が、本当の幸せを手に入れる方法は『希望』だと思う。『四月になれば彼女は』は、恋愛小説なんだけど、恋愛に限らず人間関係をどう築いていくかについてのバイブル。カウンセリング小説ですね」と話していました。

「読んだ人それぞれの恋愛に対する答えを、自分のなかに見つけて欲しい」と川村さん。切なくて、残酷で、美しくて、いとしい物語を、ぜひお楽しみください。

 

※情報は2016.12.11時点のものです

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