袁廣鳴のビデオアート1992-2014「記憶のスキャン」三菱地所アルティアム

台湾の映像作家、袁廣鳴(ユェングァンミン)さんの作品を紹介する展覧会「記憶のスキャン 袁廣鳴のビデオアート 1992-2014」が、福岡市中央区天神のイムズ8階、三菱地所アルティアムで開催中です。10月5日まで。

袁さんは1965年、台北市生まれ。1990年代から映像作品に取り組み、国際的に高い評価を得ています。

今回、展示しているのはビデオ作品9点と大型デジタル加工写真1点。展覧会のテーマ「記憶のスキャン」とあるように、どの映像作品も眺めているうちに私たちの身体記憶が再生されていくのが実感できます。

「かざぐるま」ビデオ・インスタレーション 26秒 2013年

「かざぐるま」ビデオ・インスタレーション 26秒 2013年

実際に映像を見てみないと分かりにくいかもしれませんが、

たとえば、「かざぐるま」という作品では、かざぐるまではなく子どもがくるくる回転しているような錯覚に陥ります。

「消えゆく風景-葉である理由」(動態デジタル・イメージ 9分 2007年)

「消えゆく風景-葉である理由」(動態デジタル・イメージ 9分 2007年)

こちらの作品は、眺めているうちに葉脈が徐々に抜き取られていく様子が見て取れます。

葉脈が消えていく君の悪さはグローバル化の中で人や自然が均質化されてゆく現代への警鐘にもなっています。courtesy of Yuan Goang-ming

葉脈が消えていく君の悪さはグローバル化の中で人や自然が均質化されてゆく現代への警鐘にもなっています。courtesy of Yuan Goang-ming

また、袁さんは2011年3月11日の東日本大震災以後、台北の自宅から半径20キロ圏内に原発があることに気づいたそうです。「エネルギーの風景」という作品は、東京湾の風景に始まり、台湾のにぎわう海水浴場と原発、豊かな自然と核廃棄物貯蔵施設など映像の対比が印象的な作品となっています。

「エネルギーの風景」シングル・チャンネル・ビデオ 8分 2014年

「エネルギーの風景」シングル・チャンネル・ビデオ 8分 2014年

興味深かったのが、「フィッシュ・オン・ディッシュ」。白い皿の中で金魚が泳いでいると思っていたら、これも映像。今でこそプロジェクションマッピングは珍しくありませんでしたが、この作品を発表した当時(1992年)は大きな話題となったそうです。

「フィッシュ・オン・ディッシュ」ビデオ・プロジェクション・インスタレーション LCDビデオプロジェクター、白プレート、DVDプレーヤー、1992年

「フィッシュ・オン・ディッシュ」ビデオ・プロジェクション・インスタレーション LCDビデオプロジェクター、白プレート、DVDプレーヤー、1992年

 

白い皿の上に手をかざすと映像作品だということが分かります。

白い皿の上に手をかざすと映像作品だということが分かります。

そのほか、今年3月の台湾学生による立法院占拠事件を題材にした「占領第561時間目」や、

「占領第561時間目」シングル・チャンネル・ビデオ 6分 2014年

ワイヤーに吊り下げられた3台のカメラを載せたケーブルカム装置による映像に、生命と喪失の感覚が映し出された「消えゆく風景-経過Ⅱ」などが展示されています。袁さんは2009年、娘の誕生と父の他界に直面していますが、「直線に動く俯瞰的映像は、死者の再訪を彷彿させる」という声もよく聞かれるそうです。

「消えゆく風景-経過Ⅱ」3チャンネル・ビデオ・インスタレーション 9分14秒 2011年

「消えゆく風景-経過Ⅱ」3チャンネル・ビデオ・インスタレーション 9分14秒 2011年

作品数は少ないですが、作品の前でじっと映像を眺めていると不思議な感覚になり、いろいろなことを考えさせられる企画展。自分自身を見つめ直す機会にもなりそうです。

 

袁さんの作品は福岡アジア美術館で開催中の「第5回福岡アジア美術トリエンナーレ2014」でも展示されています。

※情報は2014.9.12時点のものです

三菱地所アルティアム

住所福岡市中央区天神1-7-11イムズ8F
TEL092-733-2050
FAX092-733-8309
URLhttp://artium.jp/
その他

一般400円、学生300円、高校生以下無料※再入場可
※福岡アジア美術館「第5回アジア美術トリエンナーレ2014」、キャナルシティ博多ほか「アジアフォーカス・福岡国際映画祭2014」、九州国立博物館特別展「台北 國立故宮博物院―神品至宝―」のチケット提示で100円割引

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