あの大作にパクリ疑惑 横山大観の「夜桜」 連載「オークラコレクション裏話」㊦

 12月9日まで、福岡県太宰府市の九州国立博物館で開催中の展覧会「オークラコレクション」。明治・大正期の実業家大倉喜八郎と長男でホテルオークラ創業者の喜七郎が集めた美術品約110点には、隠された逸話がある。九州国立博物館の主任研究員、山下善也さんに、展示作品の裏話を聞いた。

連載「オークラコレクション裏話」㊤ 鎌倉のアイドル写真?国宝「随身庭騎絵巻」
連載「オークラコレクション裏話」㊥ 幻の若冲版木が縁側に 伊藤若冲の「乗興舟」 

「夜桜」(よざくら)

 本物を前にして、その迫力に圧倒された。日本画の大家、横山大観が1930年のローマ展に出品した大作。日本の伝統美を海外に伝えるために選んだ素材は、満月と、かがり火に浮かぶ幻想的な山桜だった。

夜桜(左隻)

夜桜(左隻)

 「ここをよく見てください」。九州国立博物館の主任研究員、山下善也さんがかがり火を指す。「煙がまっすぐ上がり、桜の花びらは真下に落ちています。風がないということなんです」。風のない月夜。静寂の中で桜は散り、かがり火の音だけが響く。「絵画をじっと見ていると、いろんな発見があるんですよ」。山下さんの話は奥深い。

 でも、私は知っている。この作品に〝パクリ疑惑〟があることを。実は、大観より先に、同時代の日本画家で福岡市出身の冨田渓仙(けいせん)が、桜とかがり火を描いていたのだ。大観は渓仙の「祇園夜桜」をまねたのか?

 「その通りです」。山下さんはあっさり認めた。「でも、パクリというのは違いますね。作家はさまざまな作品から素材を選んで作品を作るんです。いろいろな材料が混じり合っていい味を出す。チャーハンみたいなものです」

 大観とチャーハン。う~ん、やっぱり芸術は奥深い。

連載「オークラコレクション裏話」㊤ 鎌倉のアイドル写真?国宝「随身庭騎絵巻」
連載「オークラコレクション裏話」㊥ 幻の若冲版木が縁側に 伊藤若冲の「乗興舟」 

オークラコレクション 12月9日まで開催。
■会場:九州国立博物館(〒818-0118 福岡県太宰府市石坂4丁7-2)
■休館日:毎週月曜日
■開館時間:
  日曜日・火曜〜木曜日9時30分〜17時00分(入館は16時30分まで)
  金曜日・土曜日【夜間開館】9時30分〜20時00分(入館は19時30分まで)
■観覧料: 一 般 1,500円、高大生 1,000円、小中生 600円
■問い合わせ:NTTハローダイヤル=050(5542)8600

 

 

※情報は2018.11.15時点のものです

この記事もおすすめ