力強い木版画約340点が福岡アジア美術館で展示中

 アジア諸国の文化、民族観、政治観の多様性を木版画から見ることができる「闇に刻む光 アジア木版画運動1930s―2010s」が2019年1月20日(日)まで、福岡アジア美術館で開催されています。

入り口から迫力ある木版画の看板があります

 木版画は簡単な材料と技術で絵を複製できるため、しばしばアジア各国の政治運動や社会運動で活用されてきました。SNSの無い時代に“情報発信メディア”としての特性を持っていたともいえそうです。本展では映像資料なども含め約340点の木版画が展示されるということで、貴重な機会を体感してきました。

  展示構成は10テーマに分けられています。テーマ1~3は主に中国の作品。線が太く直線的な作品が多い印象。彫ってある部分が少ないからなのか、全体的に黒々として力強いイメージです。

貴重な資料も展示されています

  テーマ4~7はフィリピンやベトナムなどの国の、細かい線で描かれた作品が増えてきます。作品のテーマやメッセージ性が強くなり、市民運動や戦争について描かれています。人物の表情からは、怒りや悲しみといった感情が伝わってきます。

カラー作品は独特の迫力が

  本展の「1960s‐70s ベトナム戦争の時代」あたりからカラー作品も登場。説明をしてくれた学芸員の趙純恵さんは「国や地域によって差はありますが、本展でカラー作品が目立つのはこの年代からです。一際鮮やかなのはベトナムの作品」。壁一面に並ぶベトナムのカラー版画はやわらかい色合いにも関わらずテーマ性が重く、鬼気迫るような表情をした人物の作品ばかりです。

色鮮やかなベトナムの作品

  テーマ8~10は依然として民衆運動や環境破壊への告発ですが、描かれている人の表情は明るくなり、ポップな図版も増えてきます。

 最後は笑顔で木版画を作るインドネシア人アーティストの映像。中盤まで感じていた重々しい空気はなくなり、晴れやかな気持ちで出口へ向かうことができました。

  約340点もの版画を収集するには数年かかったそう。滅多に体感できない圧巻の本展は見逃せないですね。

 

<展示テーマ> 
テーマ1:1930s 上海 ヨーロッパの木版画、中国で紹介される
   2:1930s 中国と日本 版画運動が発展、美術の大衆化
   3:1940s‐50s 日本 美術の民主化、中国版画ブーム
   4:1940s‐50s ベンガル 土地を奪還せよ
   5:1950s‐60s インドネシア 新聞にみる版画交流
   6:1950s‐60s シンガポール 大陸から南洋の日常へ、版画と漫画の交錯
   7:1960s‐70s ベトナム戦争の時代 国境を超えた共闘
   8:1970s‐80s フィリピン 独裁政権との闘い
   9:1980s‐2000s 韓国 高揚する民主化運動
     10:2000s‐インドネシアとマレーシア 自由を求めるDIY精神

 

闇に刻む光 アジア木版画運動1930s―2010s
日時:~2019年1月20日(日) 10:00~20:00(入場は19:30まで)
※水曜日休館(12月26日~2019年1月1日は休館、1月2日は開館)
場所:福岡アジア美術館 企画ギャラリー(福岡市博多区下川端町3-1 リバレインセンタービル7階)
料金:一般1,000円、高大生700円、中学生以下無料
問い合わせ:福岡アジア美術館
電話:092-263-1100

※情報は2018.11.27時点のものです

福岡アジア美術館

住所福岡市博多区下川端町3-1 リバレインセンタービル7・8F 
TEL092-263-1100
FAX092-263-1105

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