おひさまやDays ~ 木のおもちゃと暮らす日々 <第1回>

 はじめまして!
 福岡県新宮町で「木のおもちゃ・おひさまや」というお店をしています。今年で13年になる、ドイツなどヨーロッパの木のおもちゃ専門店です。木工が得意なのかと聞かれることがありますが、私は作りません。輸入して販売しています。

おひさまや店内。天井にも床にも木がたっぷりです

おひさまや店内。天井にも床にも木がたっぷりです

 お店は住宅街の中にある平屋、築40年を超えた家をリノベーションした一戸建て。木製の玄関戸を開けると、ふわりと優しい木の香りがお客さまをお迎えします。

GRIMMS(ドイツ)のおもちゃたち

GRIMMS(ドイツ)のおもちゃ

 店内には、ドイツやイタリア、スイスなどから届いた木のおもちゃがずらり。赤ちゃんや小さな子どもはもちろん、大人もわくわくするものをそろえています。のんびりした時間が過ぎていく新宮町のおもちゃ屋での日々を、これから少しずつ紹介していきたいと思います。

わが子の子育てで困ったことがきっかけでした

新宮町の木のおもちゃ・おひさまや店内。ゆっくりおしゃべりしていくお客さまも

息子の出産をきっかけに
 木のおもちゃとの出会いは、初めてのわが子を出産してからです。
 アレルギー体質だった息子は、歯がため用のゴム製おもちゃをなめると口の周りに湿疹が出ました。プラスチック製のおもちゃは静電気のせいか、ほこりが吸着しやすく、ハウスダストに弱い息子が触れる前にすべて拭き上げねばならず、とても大変でした。服や食べ物、洗剤や身の回りの物など、息子が安心して触れることができる自然素材を買い求める中で「安全基準が厳しいドイツなどEU諸国の木のおもちゃは良さそうだ」と感じて、選ぶようになりました。

わが家で最初の「木のおもちゃ」
 初めて息子に買ったのは「WALTERむかで」というプルトイ(引っ張って遊ぶおもちゃ)です。
 赤いひもを引っ張ると、木玉がごろごろと回り、むかでちゃんが前に進みます。丸っこい木玉をしっかり握るだけでも手を刺激します。寝返りを始めた子の前に置いて少し引くと「なんだろう?」と手を伸ばして触ろうとするので、ハイハイを促してくれます。しっかり歩くようになったら、ひもを引いて歩き、一緒にお散歩します。

左:ユシラ社「カラームカデ」、右:ニック社「WALTERむかで」

ユシラ社「カラームカデ」(左)、ニック社「WALTERむかで」(右)

 なめたりつかんだり、引っ張ったり…息子は、とてもよく遊びました。出産のお祝いにおすすめしたいおもちゃです。息子が大学生になった今でも、このおもちゃはわが家にあるんですよ。

おもちゃコンサルタントとして活動開始
 「他にどんな木のおもちゃがあるのかな?」「子どもの成長に沿った木のおもちゃの選び方って?」。息子と日々遊ぶ中で次々と疑問が浮かびました。
 図書館で本を借りて勉強したり、遊びや絵本、おもちゃについての勉強会に0歳の息子を連れて参加したりして、息子が10カ月の時には、認定NPO法人  芸術と遊び創造協会認定「おもちゃコンサルタント」の資格を取得しました。
 資格を取得してすぐ、当時暮らしていた長崎市のラジオ番組でおもちゃの選び方をアドバイスする仕事をいただきました。ラジオ放送を聞いた長崎新聞社からおもちゃに関する連載の依頼があり、さらに子育て講座の講師の依頼がくるようになりました。いつも赤ちゃんの息子を連れていき、おんぶのまま講演しました。

自宅ショップからスタート
 しかし、夫は転勤族なので、2、3年ごとに引っ越しします。長崎市から宗像市へ移り、娘を授かってからは娘をおんぶして講師、息子は私の足元で木のおもちゃで遊ぶ…そんなスタイルで仕事を続けました。

福岡県志免町の子育てサークルさんの「お花見しながら子育て講座」で娘をおんぶして講師をしているところ

福岡県志免町の子育てサークルさんの「お花見しながら子育て講座」で娘をおんぶして講師をしているところ

 そして2年もすると、今度は宗像市から福岡市へ。私の仕事の繋がりはすべてリセット。夫は転勤でステップアップするのに、私はまたゼロからのスタートか…と、むなしい気持ちになりました。子育て講座などで「こんなおもちゃがありますよ」と紹介するだけでなく、実際に商品を手渡しするところまで責任もってやりたいと思い始めたり、わが家の新築を計画していたりした時期だったので、「家の一部をお店にしたい」と夫に相談。すぐに「いいね」と了承してくれ、2006年12月に「木のおもちゃ・おひさまや」をオープンしました。

自宅ショップ入り口です。中が見えないので「ドアを開ける勇気がいる」とウワサになっていたとか・・・?!

ショップ入り口。中が見えないので「ドアを開ける勇気がいる」とウワサになっていたとか?!

 アレルギー体質の息子のおかげで、木のおもちゃと出会えました。アレルギーに感謝!
 自宅ショップからスタートした「木のおもちゃ・おひさまや」は、子どもとの暮らしを近くに置きながら、のんびりやってきました。協力してくれる家族に感謝! ありがとうの気持ちを忘れず、大変な日々を過ごしていても来店したら思わず笑顔になる…「おひさま」みたいな温かい店でありたいと思っています。

木のおもちゃ・おひさまや

※情報は2019.9.22時点のものです

木のおもちゃ・おひさまや 坂本秀子

絵本とおもちゃの専門店「木のおもちゃ・おひさまや」(福岡県新宮町)代表。2001年に認定NPO法人芸術と遊び創造協会「おもちゃコンサルタント」取得。子どもと育ち総合研究所「おもちゃコーディネーター®」、オランダ政府教育機関Cito認定ピラミッドメソッド国際教師などを取得。

九州各地で乳幼児講座、子育て支援者養成講座、子育てサークル勉強会の講師として、子どもと遊びについて講演。内容は「子どものからだ、こころ、あたまが育つおもちゃ選び」、「おだいどころであそぼう(親子でみそ作り)」、「おとなの遊び力を伸ばす!積み木の会」など、親子で一緒に受講する遊びワークショップ形式も。新聞、テレビ、雑誌などメディアからの取材も多い。

乳幼児のおもちゃだけでなく学童保育、療育教室、フリースクール、PTAイベント、高齢者施設などでのおもちゃ、ボードゲーム選びも得意とする。特に、夏休みには福岡県内の小学校から「おひさまやドイツゲーム会」の依頼が殺到し、抽選で訪問校を決めるほどの人気。

家族は夫、息子(大学生)、娘(高校生)。

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