karte.8 皮膚が繋ぐ絆~笑顔と声と肌の温もりを

今日はとっても素敵なお話をご紹介させてくださいね。

私の記憶に深く刻まれた、とても胸が熱くなるお話。

 

むかーしむかし。

私が研修医だった頃。

具体的に何年前とは申しませんが(笑)

まあ、けっこうな昔の話。

 

ある学会での講習会。

テーマは『先天性表皮水疱症』。

 

ざっくりと説明すると、

『生まれつき皮膚が弱く

手や衣服がこすれたりするだけで

水疱ができてしまう疾患』

 

衣服の摩擦で水ぶくれができちゃうなんて。

ごくごく弱い刺激すら避けるために、

どれだけ生活に気を使わないといけないか…

想像に難くないでしょう?

 

病型によって症状や予後は大きく異なるんだけど。

いずれにしても現時点では根治治療はなくて。

次から次へとできては破れる水疱に対する処置が治療の中心。

 

成長に伴い軽快するものもあるけれど、

ほとんどのケースは出生時から症状が出現して

新生児期~乳児期に死亡するケースも。

 

自力で動けない小さな赤ちゃんの頃から

親は、毎日何回も全身の包帯を交換しなければなりません。

手当てしてもしても、新しくできる水疱。

それらが破れてできる広範囲のびらん、潰瘍。

 

滲出液でガーゼがこびりついていれば

湿らせて、そっとガーゼを取り

(今のようにガーゼを使わない湿潤療法がまだまだ広まってない時代)

また軟膏を塗ったガーゼで覆い・・・

 

そりゃあもう本当に気が遠くなるような作業です。

1日の大部分を、この治療に割かなければならないのです。

 

我が子の痛々しい姿を見る親のつらさ。

肉体的な苦痛に耐える子供。

・・・私の想像など到底及ばない、

凄まじい家族の闘いだろうと思います。

 

本来は、この疾患の遺伝形式や臨床症状、発症機序という医学的な知識を学ぶ講習会なんだけど。

そんなことよりも。

ズシーン!!!と心に残った一言。

この疾患の数多くの患者を長年にわたり診てきた講師の言葉。

 

『この病気の子は皆、驚くほど明るい。

そして、例外なく本当に素直でいい子ばかりなんです。

なぜだか分かりますか?

 

この子達は皆、

毎日たくさんの時間をかけて処置をしないといけない。

それをやってくれるのはお母さん方です。

普通の子よりずっとずっと多くの時間、

母親とのスキンシップを持っているんです。

傷口をそっと手当てしてくれる母親の手から

溢れるほどの愛情を毎日感じ取っているから

この子達は皆いい子なんです。』

小学生ほどに成長して自分の病気を理解できるようになっても

包帯をぐるぐる巻かれ

皮膚は瘢痕と色素沈着に覆われ

手足の指が瘢痕癒着(くっついてしまう)していても

病気を呪うことなく、

皆とびぬけて明るいんだそうです。

 

子供って本当に凄い。

言葉がしゃべれなくても

手足をうまく操れなくても

赤ちゃんの頃からしっかり親の愛情を感じ取り

大人が思う以上の強さで“生きよう”としてるんだと思う。

 

まだ独身だった当時でさえ、

涙をこらえきれなかった講習会だったけど。

3児の母となった今、

当時とはまた違ういろんな感情が胸を締めつけます。

 

スキンケアは、スキンシップ。

母と子、父と子の、愛情や信頼や絆を育む、とっておきの手段。

 

目と目を合わせて、

にっこりと微笑みかけて、

いろんな言葉をかけてあげて、

肌と肌を触れ合わせる。

そんな時間を大切にしたいですね。

(日々の忙しさに負けて、

そんな心の余裕をなくしかけている自分に喝を入れつつ書いてます(^_^;))

全てのママとプレママさんへ。

面倒な育児マニュアルなんか気にしなくても大丈夫。

貴女の笑顔と声と肌の温もりさえあれば、

子供はちゃんと、ママの愛情を感じ取ってくれるから♡

 

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【次回は6月12日(木)午後10時更新予定です】

※情報は2014.5.29時点のものです

武田りわ

お酒と旅と家族をこよなく愛する皮膚科医。
1974年生まれの蠍座、B型。
平成18年から福岡在住。
3児の母。
福岡の魅力にハマり、整形外科医である夫と南区大橋に“武田スポーツ整形外科クリニック”を開業。
マイペースながらも貪欲に、妻業・母業・医者業を満喫中。

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