【灰塚鮎子】感じることから考える 知識より大事な力は自然の中で磨く

事務所から公園を抜け、橋を渡ると、海から潮の香りが漂ってくる。この香りは懐かしい父との思い出をほうふつとさせる。春は山菜採りに出かけ、夏は海水浴に行き磯の小さな魚を観察し、秋はキノコを探し、冬は樹氷を見て、野生の鳥の遊び場を作った。自然の楽しみ方を教えてくれたのは全て父なのである。自然を愛する父は、知ることよりも感じること、自然を楽しみ味わうことの大切さを教えてくれた。

 

私は知識を詰め込まれる今の子どもたちの環境を危惧している。そこには遊びがなく、感じるよりも知ることを、楽しむよりも役立つことが優先されている。人はさまざまなことを感じ、心を豊かにすることで人生をより深く味わい、新しい何かを創造できる。

大自然に触れ、感じた気持ちを大切に―

大自然に触れ、そこで感じた気持ちを大切に―

感じることが役立ったのは女性ファッション誌で編集者をしていたときだ。雑誌の企画で大切なことは、「はっきりと目に見えない時代の兆し」をとらえ記事にすることだ。兆しをみなが知り、データにまとまったときにはその流行は終わっている。トレンドが顕在化する前の街や人の欲求を感じてまとめ、分析し、ターゲットの読者に向けた新たな価値を加え流行を提案する。感じることで未来を見通すことができるのだ。

 

予測不可能な状況で、自分が感じることから考えを深め、現状に即し、行動する。それこそが今求められている。自然はその感覚を磨く偉大な学校なのだ。私は子どもたちに知識よりも、感じて考え、主体的に生きる方法を教えたい。その第一歩として、私は父のように自然を感じ、楽しむことを伝えることから始めようと思うのだ。

from西日本新聞「わたし活性化計画」面

※情報は2014.7.5時点のものです

灰塚 鮎子

経営者。新潮社、雑誌編集を経て、株式会社Elephant設立。企業向けカウンセリングサービス「HARDIAL」を展開し、組織コンサルティングを提供している。ウェブサイトFan Fun FUKUOKAにて詩を連載中。

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