【方言ぽっこり】山笠ぽっこり

「おはしょりの長さは人差し指一本分。」

小さい「や・ゆ・よ」が入る言葉って、

一気に方言っぽくなるけれど、「おはしょり」は立派な着物用語。
女性の浴衣の帯の下の折り目のことをいいます。素敵な響きです。

 

さて、博多祇園山笠が始まり、今年の夏も福岡は暑く(熱く!)なりそうですね!


今回は、方言から少し離れて、この博多祇園山笠をフューチャーしたいと思います。

京都を始め、全国各地に存在する祇園祭ですが、それぞれの共通点は、

① その土地を大きな災難が襲い、疫病退散・厄除け祈願の祭事が起源となった。

② 奉納する神様が、一緒だった。

という二つです。

それが、それぞれの土地の習慣の中で様々な発展と遂げていったのが、祇園祭。
つまり、必ずしも「京都の祇園祭」がすべての祇園祭に由来しているわけではない、というわけです。

 

ちなみに博多の山笠は、

鎌倉時代に町に大変な疫病が流行った際、偉いお坊さんが神事につかう棚に乗って、

清めの水を撒きながら町を歩いたら疫病が去った!

 

という出来事が始まりだと言われています。

そのお坊さんが乗った棚が、山笠の元になったらしいんですね。

どういった過程か分かりませんが、その山笠をだんだん派手に、

大きくして競い合う形にしていった地元の人たちに、

「これは自分たちの祭りだ!」という心意気とプライドが垣間見える気がします。

 

700年以上続けられてきた博多祇園山笠は、

国の重要無形民族文化財にも指定されています。

 

見所はなんといっても、

博多人形師が手がけた秀麗な「飾り山」と、男たちに担がれて町を大迫力で練り歩く「舁き山」ですが、

明治時代までこの2つは、同じものだったことをご存じでしたか?

 

つまり、10メートルを超える「飾り山」を担いで、現在の「舁き山」のように町中を練り歩いていたんです!

調べれば写真も残っていますが、まさに圧巻です!信じられないバランス感です!

しかし、町中に電線がかけられるようになり、背の高い山笠はだんだんと身動きをとれなくなってしまいました。

 

それで、「見せる」と「動く」を役割分担したものが定着し、今の形になったんだそうです。

 

「おいさー!!おいさー!!」

と、響く掛け声。

 

ゆっくり走るときには、「おっしょい」とも言われるらしいです。

「おっしょい」は、祭りの初日に行われる清めの儀式「お汐井取り(おしおいとり)」に由来するとも言われています。

そして、その「おっしょい!」が、勢いづいて「おいさ!おいさ!」に変わった、という説もあります。

 

つまり、この単純な掛け声を口にするだけでも、この祭り本来の「災難退散」という願いにつながっているんです。

 

この、博多祇園山笠の掛け声は、

「全国各地で人々が地域のシンボルとして大切にし、将来に残していきたいと願っている音の聞こえる風景」

として、1996年に「日本の音風景100選」にも選ばれました。

 

 

なにも、祇園祭は博多だけではありません。

 

やはり同じような起源をもつ祇園祭が、小倉、戸畑、黒崎などでも大々的に行われます。

夏の風物詩の一つですが、一度ひも解くと、地元に根付いたさまざまなことが分かってきます。

 

例えば、奉納する神様「スサノオ」を象徴する模様(神紋)に似ているから、

昔の博多っ子は祭りの会期中はキュウリを食べない、だとか。

場所が変わって小倉では、

長州戦争で大半の山車が失われて、太鼓だけが残ったというのが、祇園太鼓の始まりだとか。

 

方言と同じで、伝統ある行事も「写真や文字で保存して、箱に入れて大事に守るもの」ではありません。

現代を生きる私たちが生活になじませて、愛おしさを感じてこその魅力なのです。

 

今年の祇園祭では、お祭りらしい美しさ、迫力を楽しみながら、

その裏側に脈々と根付く歴史を感じて「おいさ!」と叫んでみてはいかがでしょうか。

※情報は2014.7.8時点のものです

久保田美栄

1982年生まれ。福岡県うきは市出身。高校卒業後、上京。
在京13年を経て、筑後弁と標準語を使い分ける『方言バイリンガル』に。
現在は、東京にて映像制作の仕事に就く。

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