近づく、イスラム過激派の足音。背景にある根底的な問題とは―

イスラム過激派とは、イスラムにより自分たちの理想を理論化する戦闘的な組織。こうした過激派を支持しないイスラム教の人から見ればイスラムの名を利用して犯罪やテロを行う集団と見なされています。

イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)。BBC Newsより。

イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)。BBC Newsより。

日本にいるとイスラム過激派といってもピンと来ませんが、日本からの旅行客も多い東南アジアでも、テロ関連事件が多発。
東南アジアでは、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)が、勢力を拡大し、インドネシア、フィリピン、マレーシア等で事件を起こしています。世界トップクラスの治安を誇るシンガポールでさえも、今はもうテロと無縁ではありません。

アメリカ同時多発テロ事件(2001年9月11日)以降にイスラム
過激派の攻撃を受けた国((C)Angelo De Paz 2017年3月25日)

アメリカ同時多発テロ事件(2001年9月11日)以降にイスラム
過激派の攻撃を受けた国((C)Angelo De Paz 2017年3月25日)

一方、アフリカ。私の暮らすモザンビークでもニュースにアフリカで起きたイスラム過激派の事件が取り上げられることが多々ありますが、ちょっと離れた国に起こっていることというぐらいにしか捉えていませんでした。

しかし、今年の10月に事件が起きたのです。

私の住むモザンビーク北部カーボデルガド州の町で、3つの警察署を襲撃する事件が発生。16名が死亡しています。当初は、ソマリアのアルカイダ系テロ組織「アルシャバブ」ではないかと推察されたのですが、30名ほどの犯人グループが捕まった今でも、その詳細は明らかになっていません。しかし、アルシャバブを模倣した若者グループによるものであると現地では語られています。

近年勢力を伸ばしているソマリアのアルシャバブ。

近年勢力を伸ばしているソマリアのアルシャバブ。

アルシャバブとは、「好青年」の意味。ソマリアやケニアでテロ攻撃を続けており、2016年だけで4千人以上を殺害しており、アフリカで最も恐れられるテロ集団となっています。

もう1つ、悪名を馳せているのが、ナイジェリアを拠点とするサラフィー・ジハード主義のイスラム過激派「ボコハラム」です。ボコハラムとは、「西洋の教育は罪」の意味。国際テロ組織アルカイダと連携しており、イスラム国(IS)に忠誠を誓っています。2014年にナイジェリアの女生徒276名を拉致し、今年になって、うち82名が解放されています。

ナイジェリアのボコハラム。

ナイジェリアのボコハラム。

なぜ、若者はイスラム過激派に参加するのか?!

国連が2015年から2017年にかけて、アルシャバブやボコハラムの元戦闘員500名にヒアリングした結果、過激派に加わった主な理由として貧困や失業だったとの報告書を発表しており、イスラム教の教えを理解していない人も多く、宗教への理解が引き留めにつながる可能性を示しています。

それと同時に、グローバル化に伴う現地での経済や暮らしの格差の開きも活動に参加する人が増加する要因になっていると考えられます。
イスラム過激派が活動する国では資源が採掘されるため外資企業が参入している国もあります。モザンビークでの警察署襲撃事件が起きた地域も、巨大ガス田が発掘されている地域であり、外資企業が多数参入している町です。

外人がやってきて開発をして、俺たちの国のものを持っていっている。

俺たちの暮らしは何も変わらないのに、奴らだけ金持ちになっている。

そのように思っている若者も多いことでしょう。
そして、過激派活動とは知らずに、暮らしを良くする活動だと思い参加し、気づいたらテロ組織の教育に染まっていた…そんなパターンもあることでしょう。

米国や英国、その他の国でも、テロ対策やテロ作戦は幅広く展開されているものの、イスラム過激派に参加する若者たちの問題の根底に何があり、彼らを踏みとどまらせるには、どうすべきなのか。
私たちが、そして国際社会で、今一度、考え、取り組む必要があると思うのです。

※情報は2017.11.1時点のものです

榎本恵

アフリカ南東部のモザンビークで、教育支援や人材支援、環境保全、公衆衛生設備などに取り組む。日本とモザンビークの相互理解のためのイベントなども開催。モザンビークのいのちをつなぐ会代表。http://www.tsunagukai.com/

関連タグ

この記事もおすすめ