堀江貴文氏の発言「保育士は誰でもできる仕事」について元保育士が思うこと。

実は私も数年前、3年間ほど保育士をしていました。
普通の大学を卒業して、国家試験を独学で3年間受け続け合格し、
縁あって近くの保育園で働かせてもらいました。

ほんと良い経験であり、色々と学ばせてもらいました。

過去にもその辺のお話はコラムに書いていますのでぜひ!

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※コラムvol.90「保育士の夢と現実の挟間で」はこちら

※コラムvol.91「子育て未経験男性保育士が子育て支援へ」

そんな元保育士の立場から考えたい話題があり、前回書いた我が家の「待機児童騒動」問題をさておき、今回はこちらのテーマでコラムを書きたいと思います。

・堀江貴文氏の「保育士は誰でもできる仕事」発言

この発言の発端は、「なんで保育士の給料は低いと思う?」という記事に関し、ホリエモンが「誰でもできる仕事だからです」とツイッターで答えたこと。その発言に対し、賛否あり、非難ありで、炎上が広がり…。

この話題については、NPO法人フローレンス代表の駒崎弘樹さんや、SNSで絶大な人気をもつ現役の男性保育士の「てぃ先生」も反応しています。いろんな人の意見を読んでいると、なぜホリエモンがこう思うのか?いやこうじゃないという意見など、賛否両論の考え方があると理解できるのですが、

いち元保育士である私的には…
給料や社会的枠組みなど、なんだか難しいというか規模が大きい問題は、もうその辺の人に任せた方がよいかな~と感じました。

近年、話題になる保育業界。そこで働くのが保育士さんです。

近年、話題になる保育業界。そこで働くのが保育士さんです。

小難しいことはさておき…
色々と記事を読んだ感想と実体験を絡めながら、私なりの答えを出そうと思います。

まずホリエモンの発言に対しては、そんなに保育士を馬鹿にしているとは感じなかったです。

それはきっと、どこかで(元保育士である)私自身もそう感じていたからだと思います。

保育士…もちろん国家資格です。
専門性をもって、その専門性を生かす職業です。
しかしながら、私のように勉強(知識)だけでも取得できる資格でもあります。そんな未熟な私でも「先生」という立場で仕事をしていました。

もう失敗ばかり、出来ないことばかり、「これで保育士なのか?」と当時は良く悩んでいました。でもこんな私でも【保育士】として仕事をしていたのです!!

早い子では短大卒で保育士となります。20歳そこそこの人でも出来る仕事なのです。そう思うと…誰でもできる(できそうな)仕事と捉えられる可能性は高いと思います。

これぐらいなら誰でもって思うけど、それでもね~

これぐらいなら誰でもって思うけど、それでもね~

私的には、ホリエモンの言葉を少し変えるなら

「保育士は誰でもできる仕事」→「保育士は誰でもなれる仕事」かな。

勉強すればなれるし、専門的な学校を卒業すればなれるし…って感じです。ってか、そうなれば世の中にあふれる多くの仕事と同じ感じなので、要は【誰でもなれる仕事】といえると思います。

勿論、なれたとしても…「誰でもできる仕事」ではないのが保育士です。
私はその代表で、まさにできない保育士でした。だからこそ辞めてしまったのかもしれません。それだけ日々の仕事は大変で、子どもという『人』を育てていくことは難しいことでした。ほんと、現役で頑張っている保育士さんはすごいと思います!!

しかしながら、課題点は多い!!

「日誌の手書き作業」「IT化の遅れ」「クローズな仕事内容」等
まさにこの発言からの論争から改めて気づくことが多くあります。

保育士は、毎日子どもたちがお昼寝している最中などに「日誌」や「連絡帳」を書いています。まだ保護者との交換日記のような「連絡帳」なら手書きっていうのは分かりますが、「日誌」とかも手書きっていうのは・・・。

また、保育士になろうと実習に来た学生が書く「実習日誌」。
実習生たちは日中、必死に保育士の仕事を経験し、その後、明日の実習の準備を用意しながら、寝るのを削って「実習日誌」を書きます。

大切なのは分かります。しかしながら内容が内容だし、量も半端ない。そして毎日書かないといけない。そしてなぜだか修正液等の使用不可といったルールもあります。
いやいや、手書きの上、間違ったら書き直し…なんてありえないでしょ!!

実習中にはメモを取る余裕すらないので記憶を辿りつつ書きます。

実習中にはメモを取る余裕すらないので記憶を辿りつつ書きます。

この一連の作業が、多くの実習生を苦しめ…

実習きつい→日誌嫌い→保育士って大変→なら資格だけはとって、保育士にはならない

っていう学生さんたちは多いと思います。

仕事とは大変なもの!!
そんなことは分かっています。でも、保育士を目指す学生さんの中には、大変な仕事を乗り切る熱意はありつつも、手書きの日誌など煩雑な仕事の大変さによってせっかくの熱意が削られている人も少なくないようです。

保育士の世界って、このITというかハイテクまっしぐらの世の中で、
こういう手書きの作業がまだあり、それをどうにか改善しようともしない停滞気味な業界と思います。

子どものためにも、自分たちのためにも、
もっとうまくITや手段をうまく使っていくべきと思います。

また、保育士の置かれている「クローズな環境」も問題だと思います。

保育士たちは、ある地域、1つの園、1つのクラスの中で働いていきます。同じ園同士ならまだクラス間でも交流はありますが、地域や隣の保育園との交流は滅多になく、外からの刺激っていうのもなかなかありません。

研修等はありますが、一般の会社のように「研修に行ってきます」「出張に行ってきます」と簡単に外出できる環境ではありません。そもそもが最低限度の人数や先生でやっているので、なかなかそんな余裕もありません。

そうなると…保育の仕方はその園独自の雰囲気などで固まり、まさに「クローズ化」していきます。まっ、子ども達のプライバシーの問題もあるので、「完全オープン化」っていうのは難しいとは思いますが、自分たちがやっている仕事や保育士という役割などを「オープン化」していかないといけないと思います。

保育士=ただ子どもと遊ぶだけ

という間違ったイメージが滞ったままで、それだから「誰でもできる仕事」や「給料があがらない仕事」などと思われ、結果これから保育士になろうとする人を減らし、保育士不足となり、保育士が足りなくなると子どもを保育園に預けられない家庭ができ、「待機児童」が生まれる。そして私の家庭もそうなる…。

本当に未来を担う子どもたちの為にも…
今の保育士や保育園の【保育業界】は変えていく必要があると思います。

ホリエモンの言い方は、なんだかキツいですが…
そう言われても致し方がなく、警鐘をならしてくれたと思います。

こんな発言や考え方が外からではなく、現場から出てくることが一番だと思います。

「誰でもできない仕事なのに、誰でもできる仕事と言わせちゃう仕事」
なんだか悲しいですね。保育士さん、日々子ども達と為に頑張っているのに…。

※情報は2017.11.2時点のものです

やのっちパパ 矢野浩樹

福岡県朝倉市出身。大学卒業後、独学で保育士資格を取得。その後、学童保育指導員・保育士・子育て支援アドバイザーを経て、今も多くの子どもたちの体験学習や若者育成の仕事に関わる。またマダガスカルのスポーツクバーラ伝道師や子育て講座のファシリテーターとしても多方面で活躍中。 現在、二児(4歳の娘、1歳の息子)のパパでの娘の子育てに日々奮闘中!パパ目線、元保育士目線などから…現在の子どもの成長や子育て状況をユルめに、そして独自的に語る子育てコラム。 連載100回を越え、現在も不定期ながらも連載中!

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