カンヌ国際映画祭グランプリ フィンランド映画『過去のない男』- 人生は後には進まない / 銀幕ヨーコ

ボンジュール、皆さん! (Bonjour, tout le monde!)

この作品を紹介したいがためにこのコラムに参加させていただいたと云っても過言ではない映画をご紹介します。

フィンランドの巨匠、第2回目に紹介した「ル・アーヴルの靴みがき」のアキ・カウリスマキ監督の2002年の作品です。

華やかで綺麗でカッコいいスターが主役のハリウッド映画とは真逆の、派手さのひとかけらもなく、そこらの通りを歩いているようなおじさん、おばさんみたいな人たちが主役で、しかも社会の底辺で生きている人たちを描いたとことん地味~な映画に大変衝撃を受けたものです。

感傷的なBGMがあるでもなく、しかしこの作品のすべてが新鮮で斬新。 10年前に観た映画なのに、今でもずっと心に残っています。

私個人としては、ストーリーを知らずに、まずは観ていただきたいというのが正直なところです。この映画を観て、面白いと思うか、「何?これ」と思うか、皆さんの反応が知りたいのですが、、、。

これより先はちょこっとストーリーを説明します↓

列車に乗り、夜のヘルシンキに着いたひとりの男が、公園のベンチで暴漢に襲われ、重傷を負います。気がつけば病院のベッドでミイラのように全身包帯だらけ。しかも自分の名前も過去の記憶もすべて失います。悲惨極まりない状況に置かれた彼ですが、周りには貧しくも心優しい人たちがいて、彼に救いの手を差し伸べます。コンテナで暮らしはじめてやっと穏やかな生活が始まります。救世軍からスープが振る舞われると知って、支給場所へ行き、救世軍で働くイルマという女性と運命的な出会いをするのです。

フィンランドの駅の雰囲気・・

フィンランドの駅の雰囲気・・

この物語の展開は別に珍しいものではないけれど、「今日をどう生きるか」という極限状態にありながら、どこか人生を達観して、焦らず、決して悲観的にならずゆったりと「今」を受け入れ、楽しんでいる姿がシュールでかっこいい!たぶん同じ状況に置かれた日本人の気質にはないのでは、、。

くすっと笑えるユーモアがちりばめてある会話もおしゃれ! 大人の映画です。

地味~だけど、2002年のカンヌ国際映画祭のグランプリと、カウリスマキ作品に欠かせない女優カティ オウティネンが主演女優賞の栄冠に輝いた作品です。

この映画にグランプリを授けたカンヌ国際映画祭に乾杯!

Au revoir!(オ ルヴァール!)

次回は8月21日(木)にお会いしましょう☆

※情報は2014.7.18時点のものです

過去のない男 公式サイト

URLhttp://www.eurospace.co.jp/kako/

銀幕ヨーコ

趣味は映画、美術、音楽鑑賞、旅行、読書、さらには空手。

映画は邦画、洋画、ジャンルを問わずなんでんかんでん観ていた時代を経て(オカルト系は苦手)、やっぱりヨーロッパ映画が一番好き。でも韓国映画もいい、中国、台湾、いやインド、イラン映画も捨てがたいな。そうやって私の好きな作品を選別していくと、実は世界の名監督たちが日本の小津安二郎監督作品に強く影響されているという共通点があったんです。これから小津作品に影響力受けた各国の名画を中心においおいご紹介したいと思います。

よろしく!

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