「かるた」のルーツと変遷―きっと欲しくなるお薦めかるたも紹介!

明けましておめでとうございます。ツムラクリエイションの津村修二です。
今年もボードゲームの奥深い魅力をあらゆる視点から伝えていきます。よろしくお願いします。

さて、今回は正月に遊ぶ機会が多い「かるた」を紹介します。

●かるたの起源は平安時代の「貝覆い」

かるたと聞いて皆さん何をイメージするでしょうか?”犬も歩けば棒に当たる”など、ことわざが書かれた読み札の「いろはかるた」、名句を味わう「百人一首」など様々だと思います。特に、百人一首は映画化された人気少女漫画『ちはやふる』の影響もあり、思い浮かべる方もきっと多いことでしょう。

実はこのかるた、その歴史は驚くほど古く、起源は平安時代にまで遡ります。それは「貝覆い(かいおおい)」と呼ばれるもので、大蛤(おおはまぐり)の貝を地貝(じがい)と出貝(だしがい)の二つに分け、それぞれに和歌の上の句と下の句を書き、その二枚を探し出し合わせるという遊びでした。句と一緒に挿絵が、あるいは挿絵だけが描かれる場合もありました。貝は古代人にとっては食用、また装身具用としてずっと身近に親しまれたものであり、遊戯具として使用されるのもごく自然な流れだったと言えるでしょう。今の百人一首に通じる「歌かるた」の原型がここにあります。貝覆いは180組(360枚)が1セットとなっており、地貝と出貝は松竹梅や鶴亀など吉祥文様の二つの貝桶に分けて入れられます。ぴったりと二枚が合うということで夫婦円満の意味で婚礼調度品にも用いました。

貝覆い「源氏物語」(レプリカ・筆者蔵)

貝覆い「源氏物語」(レプリカ・筆者蔵)

●大航海時代にポルトガルより伝えられた「南蛮カルタ」

安土桃山(天正)時代に入ると、ポルトガル人によって「南蛮カルタ」が日本に伝わります。カルタと言っても、日本でこれまで遊ばれてきた、いろはかるたや百人一首のような合わせかるたではなく、どちらかというとトランプに近いものです。数字の1~9とJ(ジュニア)Q(クイーン)K(キング)を合わせた12枚×スート4種類(剣=スペード、根棒=クローバー、聖杯=ハート、貨幣=ダイヤ)の48枚一組。そもそも、カルタとはポルトガル語でカードを意味する(Carta)から来た言葉なんですね。大航海時代、長い船旅の中で船員たちはカード遊びに興じていたわけです。

天正の時代に三池(現・福岡県大牟田市)の地で日本初の国産かるたが作られました。これを「天正かるた」と呼びます。その実物のカードはたった一枚だけ現存し、それは兵庫県芦屋市の滴翠美術館に保存されています。かるたの需要が多くあったのは京都と名護屋(現・佐賀県唐津市)でした。名護屋は豊臣秀吉が朝鮮出兵のための拠点とした地であり、そこでかるた遊びが流行したようです。こうした南蛮カルタとの融合から、合わせかるたも同様に紙のカードで作られ遊ばれるようになっていきます。

●江戸時代に人気を博した「うんすんかるた」

江戸時代に入り、75枚(数字1~15×スート5種類)の日本独自のかるた「うんすんかるた」が誕生します。これは「天正かるた」を和風にして大衆化したもので江戸中期にはかなり流行しました。唯一、熊本県人吉市に伝統的な遊戯としてその遊び方が伝わり、遊戯法が県の重要無形民俗文化財に指定され、今も毎年大会が開かれています。

うんすんかるた(筆者蔵)

うんすんかるた(筆者蔵)

●カムフラージュから生まれた「花札」

かるたはやがて賭博としての色を濃くし、寛政の改革で教育系の歌かるたといろはかるた以外は禁止されてしまいます。当然、それまでかるたを生産していた職人たちは、仕事を無くし困ります。何とかかるたが作れないか?そこで誕生したのが「花札」。別名で「花かるた」と言われますが、1~12の数を月折々の花でカムフラージュしたのです。おもしろいですね。禁止されることで、そこから新しいものが生まれるという好例です。(※花札の起源には諸説あります)

●まとめ

まだまだ明治、大正、昭和と歴史は続きますが、長くなるのでこのへんで筆を置きます。現代でも遊ばれる「かるた」にはこのような歴史があったんですね。とてもロマンがあります。

ちなみに、私の家族は毎年、正月にはかるたで遊びます。いろはかるたであれば、古典的な教訓に背筋が伸びる思いになったり、百人一首であれば、句を詠んだ人の気持ちに想いを馳せたり、それぞれに遊びながら感じるところ、学ぶところがあり、それによって会話が自然に生まれ、楽しい家族団らんの時間を過ごせています。

●お薦めのかるた紹介

私が選ぶお薦めかるた3点を紹介します。

昭和を代表する童画家・武井武雄氏の「幼児標準カルタ」(税込¥3,024)。こちらは1935年に鈴木仁成堂から発行されたものの復刻版です。リズミカルで独特のテンポ感が特長の語句とユーモアたっぷりのかわいらしい絵札がたまりません!木造校舎を見たときに感じるような、懐かしく温かい気持ちになります。製作は奥野かるた店。

47都道府県、それぞれの日本一をテーマに作られた「日本一かるた」(税込¥2,052)。かるた遊びを通して日本の工芸品・民芸品・工業製品のことを楽しく知ることができます。富士山型のカードが特徴的。製作は中川政七商店。

笑いたい人にはこちらをお勧め。沖縄、玩具ロードワークスの「あいうえおカルタ」(税込¥2,322)。版画家・豊永盛人氏のシュールな世界観が炸裂!「IPPONグランプリ」(フジテレビ)の大喜利のお題の絵にも使われています。「世界メルヘンかるた」「沖縄おもしろカルタ」「沖縄ドライブすごろく」など作品は多数。

文章・写真 津村修二

◆参考文献

「NHK美の壺 かるた」(NHK出版)
「江戸の遊戯 貝合わせ・カルタ・すごろく」(並木誠士著・青幻社)
「図説カルタの世界」(大牟田市立三池カルタ記念館)

◆関連リンク

大牟田市立三池カルタ・歴史資料館

「第11回楽しく遊ぼう!かるた祭り」
アクロス福岡にて2018年1月5日(金)~8日(月・祝)まで開催中
詳細はこちら

◆津村修二 ボードゲームイベント情報

「おとなの為のボードゲーム講座 in 六本松 蔦屋書店“PLAY”」
2018年1月28日(日)18時30分~20時
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※情報は2018.1.7時点のものです

津村修二

ツムラクリエイション代表。ボードゲームクリエイター/アーティスト。
1983年福岡生まれ。幼少の頃よりオリジナルのボードゲームや外遊びを考案し、小学6年生の時に福岡市全住所が登場する巨大すごろく「福岡市大すごろく」を制作。(2014年7月より福岡市博物館1階「みたいけんラボ」にて展示中)
2011年に「ツムラクリエイション」を起業。砂時計を使った新感覚の石取りオリジナルゲーム「Amen-アメン-」の製作と販売を開始する。
そのほか、各種ゲーム会やアート展を企画・開催し、ボードゲームの楽しさやデザインの美しさを伝える活動を続けている。
新聞・テレビなどメディアからの取材も多数。現在、天神イムズ6階「つみきや」のスタッフとしても勤務中。

ツムラクリエイション
http://tsumura-creation.com/

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