佐賀藩のお姫さまに会いに行こう!貢姫と私たちをつなぐもの

貢姫と兵藤綱江。
公益財団法人 鍋島報效会所蔵

貢姫と兵藤綱江。
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平昌オリンピックでスピードスケート女子500メートルで金メダルに輝いた小平奈緒選手と、銀メダルの李相花選手の友情が美しいと話題になっていますね。佐賀藩のお姫様、貢姫(みつひめ・1839~1918)にも80年の生涯のうち、70年間、おそばに仕えた兵藤綱江さんがいました。上の写真はめずらしい貢姫&綱江さんのツーショットです。

綱江さんは12歳で佐賀城の大奥に出仕し、貢姫付きの御小姓見習いとなりました。姫が23歳で夫に川越藩松平家当主・松平直に死に別れて寡婦となり、その後、髪をおろして慈貞院となったときに、「一生このお方のおそばにお仕えしよう」と決めたのだとか。綱江さんのほうが5、6歳年上です。

貢姫が佐賀城を離れて江戸に行ったのは、7つのときでしたが、いまのように飛行機で福岡空港~羽田空港へ1時間半、LCCも飛ぶ時代ではありませんから、遠路はるばる行ったのでしょう。貢姫は箱根など道中で見かけた花や植物を採取して、大事に和紙におさめていました。

公益財団法人 鍋島報效会所蔵

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貢姫の旅の思いで。草花コレクション。
公益財団法人 鍋島報效会所蔵

貢姫の旅の思いで。草花コレクション。
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いまで言うと、ドライフラワー……? しかし、写真でおわかりのように、ドライフラワーというよりもっと当時に近い状態で残っています。同行の人が書いた旅の記録には、江戸からずっと通ってきた地名が書いてあり、「おだわら」では〝ういろう(外郎)〟などその土地の名産を食べたと。

小田原というと、かまぼこがすぐ特産品で思い浮かびますが、お菓子のういろうも名産だったようです。外郎という仁丹のような薬に外見がよく似ていたので、ういろうという名前が付いたお菓子とも言われていますが、小田原には京都から分家された外郎家がお薬を作って売っていたとか。

それがお菓子のういろうも作るようになったようなのですが、ややこしい。小田原のこのういろうが明治に入ってから市販されたことを考えると、貢姫様が小田原を通った頃は、ご当地グルメか、とても新しいお菓子だったのかもしれません(貢姫は江戸の天保生まれで、幕末、明治、大正を生きました)。

明治時代の鍋島家のファミリー写真。前列中央の老女が貢姫。
公益財団法人 鍋島報效会所蔵

明治時代の鍋島家のファミリー写真。前列中央の老女が貢姫。
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貢姫の作った「飾り結び見本帳」
公益財団法人 鍋島報效会所蔵

貢姫の作った「飾り結び見本帳」
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貢姫は書、絵、漢書、和楽器(琴、笙、笛など)、なぎなた、乗馬など、幼い頃からたしなまれ、手細工の腕前が玄人はだしだったことは前回の写真を見ても想像できるのですが、「飾り結び見本帳」まで作っておられるのです。上の写真がその一部です。

※関連記事:佐賀藩のお姫様に会いに行こう!佐賀城下ひなまつり&貢姫の手細工

小刀の柄(つか)に結ぶ紐や茶道具、竹垣など、大きなものから小さなものまで、貢姫の生きた時代には〝結び方・編み方〟がいまより沢山ありました。その結び方のいろいろを絵で説明したものがあったのを、貢姫が見て、実際にひもで再現してみてカタログ化したのが上のもの。

結びつける紙も自作したもの。すべての結び方に使ってあるのは同じ水色の糸で、ばらばらでないので、一目で結び方がよくわかります。

指先が器用で、ものを作るのが好きで得意というだけでなく、「こういう結び方を残しておかないと、わかる人がいなくなるかも」という気持ちもあったのか、マニアックなところのあるお姫様だったのかなという感じがします。

近くでみると立体的に、緻密に作られた作品なのがわかります。
公益財団法人 鍋島報效会所蔵

近くでみると立体的に、緻密に作られた作品なのがわかります。
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こちらも貢姫作、和楽器の譜の和とじ本。一番右の和紙には笙が描かれている。手仕事で生活を明るくする気持ちが感じられます。
公益財団法人 鍋島報效会所蔵

こちらも貢姫作、和楽器の譜の和とじ本。一番右の和紙には笙が描かれている。手仕事で生活を明るくする気持ちが感じられます。
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2017年11月から今年1月まで佐賀市「徴古館」で初の貢姫展が開催され、写真の品々が展示された。
公益財団法人 鍋島報效会所蔵

2017年11月から今年1月まで佐賀市「徴古館」で初の貢姫展が開催され、写真の品々が展示された。
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お姫様といえども、80年間生きていく間には、いろんな局面がおありだったと思いますが、手細工に熱中することで気を紛らしたり、楽しい気分になったことも貢姫様はあったのかなと思うと、お姫様のことを身近に感じられませんか? 今年2018年は、貢姫の没後100年にあたります。

(佐賀市シティプロモーション室・樋渡優子)

鍋島家の遺産をいまにつなぐ「徴古館」。年4回の展覧会のほか、歴史に親しむ催し、散策を企画しています。
公益財団法人 鍋島報效会所蔵

鍋島家の遺産をいまにつなぐ「徴古館」。年4回の展覧会のほか、歴史に親しむ催し、散策を企画しています。
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徴古館の公式サイトはこちら

徴古館では現在、「鍋島家の雛祭り」を開催中(~3月31日まで・会期中無休)。鍋島家に嫁いだお嫁さまたちが持ってこられた貴重かつ豪華なお雛様が見られます。
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徴古館では現在、「鍋島家の雛祭り」を開催中(~3月31日まで・会期中無休)。鍋島家に嫁いだお嫁さまたちが持ってこられた貴重かつ豪華なお雛様が見られます。
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※情報は2018.2.19時点のものです

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