【林眼科病院】網膜疾患はほとんど痛みがないため気づかないことも。マメな視力検査を

福岡市博多区博多駅前にある【林眼科病院】、吉村 浩一 副院長、佐藤 達彦 医師、平田 憲 医師に網膜疾患についてインタビュー

【黄斑円孔】

30年前まで不治の病だった黄斑円孔

佐藤先生 黄斑とはその名の通り黄色い色素をもっており、眼底の網膜の中心にある直径1.5~2㎜ほどの部位です。ものを見るために最も重要な部分で、黄斑に異常が起こると視力に大きな影響を与えます。「黄斑円孔」はその黄斑の網膜に穴が開いてしまう病気で、主に加齢で体積がしぼんだ硝子体によって引っぱられることで起こりますが、ほかには打撲など外傷により穴が開くこともあります。
 黄斑円孔の症状は歪視症といわれる物が歪んで見える症状が中心で、進行すると特徴的なのが真ん中がくしゃっとすぼむような歪み方を自覚します。砂時計の落ちる中心部を横から見たような状態というとイメージしやすいでしょう。
 実は1980年代後半まで、黄斑円孔には治療法がなく「不治の病」と言われてきました。それが2000年代からOCT(光干渉断層計)と呼ばれる検査機器が普及し、いままでは不可能だった眼球後方の異常などを早期に確認、診断できるようになりました。

佐藤 達彦 医師 〔日本眼科学会専門医〕
大阪大学医学部卒業、大阪大学大学院医学系研究科博士課程修了。
2015年カリフォルニア大学international fellowship program修了。
大阪大学医学部助教を経て現職。

佐藤 達彦 医師 〔日本眼科学会専門医〕
大阪大学医学部卒業、大阪大学大学院医学系研究科博士課程修了。
2015年カリフォルニア大学international fellowship program修了。
大阪大学医学部助教を経て現職。

治療方法は手術のみ。年単位の経過観察が必要

佐藤先生 一度開いた黄斑の穴が自然に塞がることはほとんどないため、軽度の場合も進行している場合でも手術以外に治療法はありません。まず硝子体を網膜から剥がし、術中に穴の状態を確認します。それでも穴が開いたままの患者さんには、目の中に空気(医療ガス)を注入して、うつ伏せの状態で穴を抑えることにより、閉鎖するように手術をします。術後、数日から数週間は安静が必要となります。
 目の奥にある黄斑は目というより脳細胞の一部と言えるデリケートな部分。術後の経過を含めると年単位で治療していく病気です。一日も早い受診や治療をおすすめします。

【黄斑上膜】

網膜表面の膜が厚みを増し、物が歪んで見える黄斑上膜

平田先生 「黄斑円孔」は黄斑に穴が開く状態ですが、「黄斑上膜」は黄斑網膜の表面に薄い膜が張る病気で「黄斑前膜」や「網膜前膜」とも呼ばれます。症状は黄斑円孔とほぼ同じで、中心部が歪むような見え方や霞みが起こり、場合よっては物が拡大して見えることもあります。痛みはなくほぼ失明の可能性もありませんが、文字や人の顔も歪んで見えるようになり、進行すれば日常生活に著しい影響が出ることは間違いありません。

平田 憲 医師 〔日本眼科学会専門医〕
熊本大学医学部卒業、カリフォルニア大学留学、熊本大学
大学院医学研究科修了。2001年に熊本大学医学部講師、
2006年に佐賀大学医学部准教授を経て現職。

平田 憲 医師 〔日本眼科学会専門医〕
熊本大学医学部卒業、カリフォルニア大学留学、熊本大学大学院医学研究科修了。2001年に熊本大学医学部講師、2006年に佐賀大学医学部准教授を経て現職。

膜を取り除いて網膜を伸ばす。軽度であるほど回復も早い

平田先生 治療方法は、網膜の内方にある「硝子体」を切除し、特殊なピンセットで黄斑上膜を取り除いて網膜の「しわ」を伸ばします。初期ならこの「しわ」がうまく伸びて回復も早いのですが、進行している場合は剥がすのが難しくなり、通常30分ほどで終わる手術が長引く可能性もあります。大切なことは、一旦歪みが進むと、手術で黄斑上膜を取り除いても、完全には元に戻らないことです。完全な視力の回復のためには、ごくわずかな歪みの症状の時に取り除くのが好ましいと言えます。最近は、歪みが出れば、早期に取り除く傾向になっています。
 最近のOCT検査では、侵襲なしに黄斑の状態が詳細にわかるため、歪みや霞みの原因がわかりやすくなっています。また早期に除去することで、視機能の回復の可能性もより高くなります。当院のOCTは九州に数台しかない、高い解像度を誇る機器で、診断と術後の経過観察に大きな効果を得られています。

【網膜剥離】

飛蚊症や光視症の症状、もしかして網膜剥離かも

吉村先生 網膜とはカメラにたとえるとフィルムにあたる部分で、眼底にある神経でできた膜です。この膜は、目で感じた光の情報を脳へ伝達する目の中で最も大切な組織です。「網膜剥離」は、この網膜の一部が裂けて、その周囲から網膜がはがれて、光を感じなくなる状態です。はがれるといっても痛みは伴わないため気づかない場合が多いのですが、その予兆として特徴的なものが多く、光が当たっていない暗闇で光が見える「光視症」や、目の前を蚊のようなものがちらつく「飛蚊症」の症状などは、網膜剥離の可能性が考えられます。

吉村 浩一 副院長 〔日本眼科学会専門医〕
久留米大学医学部卒業、同大学医学部講師ののち現職。

吉村 浩一 副院長 〔日本眼科学会専門医〕
久留米大学医学部卒業、同大学医学部講師ののち現職。

早期発見で失明を防ぐ

吉村先生 網膜に穴が開いている場合はレーザーで凝固します。裂け目の周囲がすでに剥離している場合は緊急で手術が必要になります。年齢や剥離の状態により、眼球の外側からシリコンの細いひもを縫いつける「強膜バックリング法」と、眼球の内側から硝子体を取り除くことで網膜を戻す「硝子体手術」があります。
 網膜剥離は、なるべく早く手術をしないと失明に至る病気です。放置すると手術が難しくなるだけでなく、手術をしても再度剥離を起こしやすくなります。また、一旦黄斑の網膜が剥がれると、視力の回復が悪くなります。最近は手術手技の進歩で、早期に発見して早期に正確な手術を受ければ、視機能も維持できる病気になりつつあります。光視症や飛蚊症に気づいたら急いで眼科を受診しましょう。

■POINT■ 網膜疾患はほとんど痛みがないため気づかないことも。マメな視力検査を

「網膜剥離」発症のピークは「加齢による原因が多い年配者」と「スポーツなど外的要因が多い10~20代の若者」の2タイプに分かれます。そしてこの網膜の中心である「黄斑」が傷つくとさらに悪化という流れに。症状のサインである「急な視力低下」を見逃さないで。

林眼科病院

電話:092-431-1680
住所:福岡県福岡市博多区博多駅前4-23-35
休診日:日曜・祝日
診療時間:月〜金 9:00~12:30、13:30~17:00、土 9:00~12:30

林眼科病院

林眼科病院

※情報は2018.3.3時点のものです

林眼科病院

住所福岡県福岡市博多区博多駅前4-23-35
URLhttp://www.hayashi.or.jp/

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