
「わたしらしく」生きるためのヒント~福岡の女性4人が座談会
- 2018.4.3
- わたし活性化計画
2013年11月にスタートした紙面「わたし活性化計画」が終了するのを前に3月14日、福岡市・天神で座談会「わたしらしく~明日への活性化計画」を開きました。登壇したのは、この紙面でコラムを書いた経験がある、ヒルトン福岡シーホークのセールスプロジェクトマネジャー西出裕加子さん▽元宝塚歌劇団員で「スタジオ・ラインズ」主宰の穂高ゆうさん▽キャリアコンサルタントの西田明紀さん―の3人と、コーディネーターとしてオフィスat専務の阿部博美さん。他の誰でもない「自分らしく」生きるヒントを語り合いました。
仕事は冒険 もっと自由に
阿部 皆さん、今どんなことをしていますか。
穂高 私は宝塚歌劇団で男役をやっていたころ、間違っていた姿勢で腰痛になって。意外とこういう人は多いのではと、日常の姿勢とウオーキングのレッスンをするスタジオを主宰しています。歌のステージにも立っています。
西出 ホテルでセールスの営業部のマネジャーをしています。もともと広告代理店にいて、そこからずっとマーケティングや広告の世界にいます。久留米にいたのは18歳までで、38歳のときに20年ぶりに福岡に戻りました。フリーで働いていましたが、久しぶりにサラリーマン生活の楽しさと苦しさを感じています。
西田 会社をいくつも転職し、途中で大学教員やフリーターも挟んでいます。現在は人材系企業でヘッドハンティングの仕事をしています。企業に外部から優秀な人を入れるのが私のミッションで、いろんな社長さんとお会いしています。
阿部 宝塚を目指したのはいつですか。
穂高 10代のころは今のようにネット環境がなく、田舎にいると舞台を知る機会がない。高校に入ったとき、宝塚の舞台を見る機会があって、そこでビビビ!と。何だこの華やかな世界は、よし受験しよう、と。いきなり転機がやってきて、「入りたい」という強い気持ちが芽生えました。
阿部 一発合格?
穂高 2発目です。1発目は不発でした。バスケットボールしかやっていなかったので、「なんであなたここに来ちゃったの」という場違い感が半端ない。クラシックバレエの試験は棒立ちでした。でも帰りに大劇場の舞台を見て、ふつふつと悔しさというか、「もう一回チャレンジしたい!」「どうせ落ちるなら少しでもやってからでないと一生後悔する」と思いました。それでバレエを習い始めて、高校2年のときにチャレンジして、人生の全ての運を使い果たしました。
阿部 サラリーマンの楽しさとは?
西出 ロンドンに10年くらい住んで帰ってきて、糸島で家を買って子どもを2人産んで、ノマド生活、ネットさえあれば世界とつながれる、という生活が最初は楽しかったんです。でも、福岡にいるのに福岡の仕事もしないし、福岡の人も知らない。だんだん現実との乖離(かいり)が寂しくなってきました。当時は今より稼いでいましたが、結果的に今より稼いでいただけで、次にいつ何のプロジェクトがどこの国からくるのか分からないという状態が精神的に負担が大きく、決まった日に決まったお金が入ってくるっていいなあと思ったのがきっかけです。あと、組織で働くとチームワークが楽しい。一緒に達成したときの気持ちとか、思いやりとか。けんかもするけど、かけがえのない資産です。
阿部 転職するときのポリシーは?
西田 ポリシーはあまりなくて、どちらかというと目的意識もなく、風任せのような転職です。ありがたいことにお声掛けいただくことが多くて、いつもやったことがない仕事をやっています。やれるか分からないけどやってみようかな、と短絡的です。
阿部 日々気を付けていることは?
西田 強いて言うと、興味の幅が広いので、いろんな人と会っています。意識して、そうしています。
阿部 宝塚で一番得たものは?
穂高 「清く正しく美しく」の精神かな。宝塚は男役中心の世界で、娘役が陰で男役を支える。ファンがつくのも男役が多いので、男役はファンの皆さまにやってもらえる。娘役は自分でやるから、生きていく力は娘役があるかも。
阿部 実社会と同じかも。
穂高 そうですね。宝塚も変わってきて、昔は娘役が主役をやることはなかったんですが、今有名な「エリザベート」という作品では、わりと娘役がどーんと前に出る。社会と一緒だなあと思います。
阿部 今の会社に入ったのは?
西出 ネットを見ていたら、ヒルトンホテルがビジネス英語を教える先生を探しているのを見つけて。週2回、4時間ずつの拘束で、これって最高では、と思って面接に行きました。すると「先生というより、この部署どうですか」と。そのとき歳で、ある程度の役職でお声掛けいただきました。子どもたちと一緒の時間を過ごしたい気持ちとの間でかなり揺れましたが、ある程度の経験は積んできたので、嫌いだったらやめればいい、死ぬこっちゃない、とりあえず始めよう、とあえて自分で決めました。働き始めると、ホテルって毎日が事件なんですよ、昔のドラマみたいに「姉さん、事件です」って。毎日刺激的で今も続いています。
阿部 仕事のやりがいは?
西田 よく聞かれるんですが、いつも答えられなくて。「モチベーションの秘けつは何ですか」ともよく聞かれるんですが、モチベーションとか考えていません。まあまあのスパンで職を変えているので、ずっと忙しい。でも代になってからは、なるべく労働時間を意識して、極力働かないようにしています。最初の会社は外資系で、システムエンジニア(SE)で夜勤もあり、在宅勤務もOK。女性のマネジャーも普通に多くいて、そういうところで育って福岡に帰ってきたので、圧倒的な差に驚いた。働き方については、その十数年前より今の状態が古く、タイムスリップしたまま福岡で暮らしている、という感覚です。
阿部 働き方が日本でうまくいかないのは?
西田 政治の問題もあるが、私たち一人一人が会社に寄りかかり過ぎている。もっと自由に働いていい。定時が6時だからとか、そういう中で真面目に働いている。日本の労働はサボることが前提で管理されている。みんながもっと主体的に働けばいろんなことが解決すると思います。
阿部 みんな、こうしたらいいと思うことは?
穂高 今日とても刺激を受けている。私は一人で仕事をしているので、思っている以上に社会との接点が少ないんだなと気付いた。日頃は仕事で会う人の中だけで完結しそうになる。それが楽だし。福岡は私のように起業している女性が多いが、もっと出るべきだと思う。
阿部 転職する上でエネルギーが要る?
西田 堅い会社で、嫌な上司の下で頑張って働く方がエネルギーが要る。そこで我慢して、何があるんだろう。よくキャリアを山登りに例えるじゃないですか。女性も管理職になって、違う景色が見えるとか。私はそれもぴんとこない。仕事は、旅というより冒険に近い。旅はプランがあって楽しくて、いい景色を見ておいしいご飯を食べて。冒険は蛇が出てきたり川が増水したり。それが自分の仕事人生だと思っています。
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