【久保 巴】人はなぜ生まれ死ぬのか あなたは何を守りたい? 8月だからこそ考える

さらぬだに うちぬる程も 夏の夜の 別れをさそう ほとどきすかな

お市の方

 戦国随一の美女とうたわれた織田信長の妹、お市。兄の命による二度の結婚と、兄が原因となった二度の戦。一度目は娘たちとともに逃げ、二度目は娘たちは逃がすものの、夫である柴田勝家とともに命を絶った。落城間際、夫と杯を交わしながら詠んだとされるのが、この歌。

 

8月は原爆忌や終戦記念日など、命について考えることも多い。人はなぜ生まれ、死ぬのか。なぜ戦い奪い合うのか。

 

最近、「人は愛するもののためなら何だってできる」という言葉が頭から離れない。自分や人の命を犠牲にすることさえ、是としてしまう。良いことでも、悪いことでも。人は常に、何かを「守る選択」や「愛する選択」をしているのかもしれない。

 

お市も、戦国の乱世の下、運命に翻弄されているかのように見えたりもする。だけど、兄の信長を守り、最初の夫である浅井長政の「娘とともに生きてほしい」という願いを聞き、勝家の死に寄り添い、娘たちの命は守りながら、長政や亡くした息子の元へ逝く。そんな彼女の行動は、常に愛する者を守るために選択し続けていたようにみえるのだ。

 

今、もしもあなたが、何かと戦っているのなら、苦しんでいるのなら、傷ついているのなら、自分は何を守りたいと願い、どんなことを大切に思っているのか。生きることについてさまざまな思いに出合える8月だからこそ、そんなことに思いをはせてみてもいいんじゃないだろうか。

 

希(こいねが)う 世を行き交いし ほとどきす 愛し君との 橋にならんと

久保巴

from西日本新聞「わたし活性化計画」面

※情報は2014.8.16時点のものです

久保 巴

1982年生まれ。山口県出身。元介護士。古典、歴史好きが高じて趣味で短歌を詠む。全くの我流。ウェブサイトFan Fun Fukuokaでも、短歌を詠みながらコラム掲載中。返歌とか来たらどうしようかとワクワクしている。

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