【久保 巴】花の色はうつりにけりなと 憂うことはなかりけり たくましさこそ美しさよ

花の色はうつりにけりないたづらにわが身世にふるながめせしまに 小野小町

 

これまで5回にわたりつづってきたコラムもいよいよ最終回。最後は世界三大美女の1人ともいわれ、「若いうちに相手を見つけておこう」的な概念の礎に貢献したような存在である、小野小町の歌を選ぶ。

 

この歌は、雨にうたれ色あせてしまった桜の花に、いつの間にか年をとった自分を重ね、若く美しかったころの自分を思い、今を憂いた歌だといわれている。

 

しかし女としての自立を求めて宮廷に入り、男顔負けの異彩を放っていたような女性が、そんなセンチメンタルな歌を詠むだろうか。千年以上の時を超えて語り継がれるだろうか。

 

福岡は女性の起業家が多く、わたしの周りにもたくさんいる。女性として社会に出て行く上で、語れない苦労もあったに違いない。だけど、そんなことをみじんも感じさせない彼女たちは、今、目の前にいる若い私たちの苦しみを、良い意味で取るに足らないことだと笑う。自分の通ってきた道と重ね、懐かしんでいるかのように。過去を包み込み、未来を育む彼女たちは、皆それぞれに美しく、女性の本当の美しさとは、こうしたしたたかさをいうのだと私に教えてくれる。

小野小町も、そんな強さと美しさを備え、ひときわ輝いていたんじゃないだろうか。あらためて、この歌を眺めると、たくましく生きる力強さを感じるのだ。

花咲くを笑いて今を憂いなば今が花ぞと未来が咲う

久保巴

from西日本新聞「わたし活性化計画」面

※情報は2014.9.13時点のものです

久保 巴

1982年生まれ。山口県出身。元介護士。古典、歴史好きが高じて趣味で短歌を詠む。全くの我流。ウェブサイトFan Fun Fukuokaでも、短歌を詠みながらコラム掲載中。返歌とか来たらどうしようかとワクワクしている。

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