子どもが“協力し合う”新作ボードゲーム「さくらの大冒険」ができるまで

 こんにちは。ツムラクリエイションの津村修二です。
 今回は私がゲームデザインを担当し、4月に発売した新作ゲーム「さくらの大冒険」について紹介します。

新作ボードゲーム「さくらの大冒険」

新作ボードゲーム「さくらの大冒険」(税別3,600円)2019年4月1日発売

対象年齢:6才以上 プレイ時間:10分 プレイ人数:2〜6人

対象年齢:6才以上 プレイ時間:10分 プレイ人数:2〜6人 ゲームデザイン:津村修二 イラスト&漫画:大野智湖

◆ゲーム内容◆
 長老の家で黄金バナナの伝説を知った、おさるのさくら。世界に散らばる7つの宝石を集めると空から降ってくるという黄金バナナを求め、さくらは仲間と冒険の旅へ船出します。しかし、恐ろしい海賊モンキーXも黄金バナナを狙っています。黄金バナナを手に入れるのはさくらかモンキーXか!? 参加者全員で知恵を出し合いながら進める“協力ゲーム”。

 「さくらの大冒険」は、私が勤務している玩具店「つみきや」(福岡市・天神のイムズ6階)のオリジナルゲームで、「さくらのきのぼり」(2016年)の続編となるさくらシリーズ第2弾。私がゲームデザインをした商品で言えば、「Amen(アメン)」に続く2作目。8年ぶりの新作です。

ゲーム開発のきっかけ
 2017年夏。つみきやスタッフの原田圭悟(つみきや店主・原田隆の次男。以下、原田)から、2018年9月11日に創業25周年を迎えるつみきやの、記念のオリジナルゲームを開発してほしいと依頼されました。私がオリジナルゲームを開発するのは初めてのこと。うれしいという気持ちの反面、下手なものは作れないというプレッシャーを同時に感じました。

 ボードゲームクリエイター。その肩書きを名乗っていながら、商品化したオリジナルゲームは「Amen」しかなかった私。前作から8年近くゲーム作りのブランクがあり、作り手としての感覚や技術がさびついていないか、正直なところ自分の職能に対する不安もありました。

 一方、この8年間で数百種類ものボードゲームに触れ、何が面白いゲームなのかを感じ取り、たくさん吸収してきたという自負も。つみきやに勤めるようになって、どんな人がどんな場面でどんなゲームを求めているのか、そうした生の声も数えきれないほど聞いてきました。今の自分だったら最高に面白いゲームが作れるはず。そんな自信を胸に、私は新作のゲームデザインに着手しました。

どんなゲームを作ったら喜ばれるか?
 ゲームをデザインするに当たって、私は「つみきやオリジナルゲームである以上、子どもの健やかな成長を願うような温かいテーマでゲームを作る」ということを第一に考えました。これは絶対に守りたい自分の中での約束事のようなもの。その時に思い浮かんだのは第1弾「さくらのきのぼり」でした。

さくらのきのぼり

1,000個以上売れてファンも多い「さくらのきのぼり」

 好奇心いっぱいのおさるのさくらが世界を旅し、セコイア、ヤシの木、バオバブ、モミの木といった木を登る内容ですが、イラストとともにとても優しくてほんわかするテーマで、創業25周年記念ゲームにはさくらを主人公にした続編がふさわしいと思いました。

 すでに1,000個以上の販売実績があり、さくらに愛着を持つ子も多いので、そういった意味でも続編の製作は喜んでもらえるのではないかと考えました。

優しい気持ちに

好奇心いっぱいのさくらが木に登っていく内容です

 また、福岡市内の小学校に設置されている「留守家庭こども会」を数多くワークショップで回っている原田から、「協力ゲームはどうか」という提案を受けました。

 協力ゲームとは誰かと競って1番を決めるのではなく、みんなで力を合わせて課題を解決するタイプのものです。留守家庭では、子どもたちの間でゲームの勝ち負けによってケンカが起きることがあるらしく、仲良く遊べる協力ゲームがあったら役に立てるのではないかという提案でした。

 私はその話を聞いて、ゲームが活用される現場での協力ゲームに対する需要を知り、それを満たせるようなゲームを作りたいと強く思いました。

 ここでおぼろげながら「さくらの続編、協力ゲーム」という主軸となる方向性が決まりました。

さくらの大冒険ができるまで

 さまざまな協力ゲームを研究し、2018年1月に構想がまとまりました。最初の案は「さくらのマイホーム」という、森で迷子になったさくらを日が暮れる前に家に帰すゲームでした。

 そこから子どもがもっとワクワクすることをテーマにしようと現在の形、「宝探しの冒険の旅」をテーマにしました。その後、市内の留守家庭こども会に試作を持って伺い、子どもたちの反応を見ながら改善を繰り返し、5月に現行のルールが確定しました。

マンガで

温かみとユーモアのあるかわいいイラスト

 イラストは前作「さくらのきのぼり」も担当したイラストレーターの大野智湖さんに依頼。今回は子どもが読んでも分かるような、見るだけで理解できる説明書にしたい、と漫画にしました。温かみとユーモアのあるかわいらしいイラストで今作の世界観を見事に作り上げてくれました。

マンガ

理解しやすいようにマンガでルールを解説

 ゲームに使用する各パーツにもこだわりました。ダブルサイコロ、さくらとモンキーXが描かれた船の形をしたコマ、キラキラの7色の宝石、繰り返しの使用に耐える分厚いカードやボードなど。印刷所と何度もやり取りを重ね、理想とする製品の完成度を追い求めました。

細部に

サイコロやコマ、カードなど使いやすさや耐久性を追求

コマの形にも

コマの形にもこだわりました

 こうして構想から1年3か月後の2019年4月、ようやく発売を迎えました。

 見た目は随分異なりますが、前作「Amen」を遊んだことがある方が、今回の「さくらの大冒険」を遊んで、私らしいゲームだと言ってくれました。どちらもシンプルなルールで、運と戦略のバランスがちょうど良く、誰も嫌な思いをしない、ユニバーサルなゲームだと。

 私も多くの方に楽しんでいただけるゲームだと思っています。私の集大成と言えるようなゲームが完成しました。ぜひ皆さんに喜んでいただけたらうれしいです。

 「さくらの大冒険」は、つみきや店頭とHPで販売中です。

★4月21日(日)にボードゲームのイベントを開催します!★
 ゲーム製作に専念するため、しばらく定期ゲーム会は休止していましたが、このたび約2年ぶりとなる定期ゲーム会「津村修二のボードゲームジャーニー」を開催します。会場は「本のあるところ ajiro」(福岡市・天神)という素敵なブックカフェです。初回テーマは【ボードゲームで世界旅行】。4月21日(日)、午後4時から開催します。詳しくはイベント紹介サイトをご覧ください。

イベントを開催

「旅しよう、ボードゲームで。」

ボードゲーム「さくらの大冒険」
販売場所:つみきや(福岡市中央区天神1-7-11 イムズ6階)
営業:10:00~20:00
電話:092-737-0611
「さくらの大冒険」商品紹介ページ

※情報は2019.4.12時点のものです

津村修二

ツムラクリエイション代表。ボードゲームクリエイター/アーティスト。
1983年福岡生まれ。幼少の頃よりオリジナルのボードゲームや外遊びを考案し、小学6年生の時に福岡市全住所が登場する巨大すごろく「福岡市大すごろく」を制作。(2014年7月より福岡市博物館1階「みたいけんラボ」にて展示中)
2011年に「ツムラクリエイション」を起業。砂時計を使った新感覚の石取りオリジナルゲーム「Amen-アメン-」の製作と販売を開始する。2019年に「さくらの大冒険」(つみきや)をゲームデザイン。
そのほか、各種ゲーム会やアート展を企画・開催し、ボードゲームの楽しさやデザインの美しさを伝える活動を続けている。
新聞・テレビなどメディアからの取材も多数。現在、天神イムズ6階「つみきや」のスタッフとしても勤務中。
福岡大学商学部篠原巨司馬准​教授ゼミ・ゲスト講師。

ツムラクリエイション
http://tsumura-creation.com/

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