【奥田竜子】たくましい祖母から受け継ぐ 平凡な日常のありがたみ どんな時も生き抜くこと

どんなに貧しくても生きられる

どんな粗食にも耐えられる

着るものも寒さを凌げれば足りる

家がなくても野宿で生きられる

強い強い精神力で病気にならぬ

この五つをいつも頭に置いて心豊かに生活しております

 

これは、父方の祖母である亡奥田房子が、戦後、1人で中国・ハルビンから5人の子ども(0歳から10歳)を連れ、1年2カ月かけて日本へ引き揚げたときの体験談の結びに書かれていた言葉です。

 

晩年、祖母は歌に親しみ、歌文集「足跡」を出版しました。その歌文集に、引き揚げ時の体験を子や孫へと「わが記録」と題し記していたのです。

 

記憶の中の祖母は、少女のようにいつも好奇心旺盛でユーモアにあふれ、おしゃれに気を配り、それでいて芯の一本通ったたくましい女性でした。私はそんな祖母が大好きでした。

 

最近、実家の書庫からこの歌集を手に取り読み返す機会がありました。当時の祖母と同じ年頃の子どもを持つ母となった私は、祖母に畏敬の念と感謝の気持ちを禁じ得ませんでした。祖母の強靭な精神力と愛のおかげで、父は生き延び、今の私たちへとつながっているのです。

 

先日、次女(小1)の誕生日の夜、子どもたちを集め「わが記録」を読み聞かせました。想像を絶する戦後のすさまじさと母親の愛の強さ、敵味方なき人間の優しさにふれ、皆で涙を流しました。

 

胸はりて日本一の母われとひと独言ちつつ子等には言はず

 

平凡な日常のありがたみと、どんなの時も生き抜くということ。しっかり受け取ったし、確かに受け継いでいくからね。

from西日本新聞「わたし活性化計画」面

※情報は2014.11.9時点のものです

奥田 竜子

弁護士15年目。福岡市中央区大名で兄奥田貫介と「おくだ総合法律事務所」を運営。修猷館、一橋大法卒。2009年から福岡県教育委員。3人の小学生の母。仕事・育児・家事をそつなくこなす自分を妄想しつつ日々猛進中。

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