オーダー制食卓の地獄☆どくだみJAPAN

我が家の食卓はレストランのようである。レストランのように美味しいとか素敵だとか言っているのではなく、オーダー制なのだ。子供の送り迎えと料理を担当する夫が、というと、妻は一体何を担当しているのかと頭をかしげる読者が見えるようであるが、その夫が子供に、朝食何がいい?と聞いているのに驚いた。朝食なんてものは、日本では与えられたものを食べるのよ、という私に英国人の夫はこう言い切った。「子供にだって人権がある。その時の気分やムードを大切にして自分でチョイスをすることが重要だ」。

日本では出された朝食をいただくのが当たり前。

日本では与えられた朝食をいただくのが当たり前。

幼稚園の年長と年少の子供たちは常に競争関係にある。僕はチーズオントーストの横に両面焼いた目玉焼き、とお兄ちゃんが言うと、卵かけご飯にソーセージを2本のせて、納豆をちょっとだけ左側にのせて、と妹が言う。子供の人権のために頑張ってね、と夫に一言残し仕事に出る私であるが、夜帰ってくると、またもや子供たち二人は別々のものを食べているではないか。パスタを作ると言うと、ポモドーロソースをペンネでという長男と、マッシュルームソースをスパゲッティで食べるという長女の覇権争いに巻き込まれたようだ。子供というものは、親の苦労など考えないもので、常に異なるオーダーを出してくる。

子どもたちの無邪気なオーダーに罪はないのですが…

先日、大阪から友人家族が泊まりに来た。友人の子供たちは出されたものを文句ひとつ言わずに完食。その模範的行動に感動した私は夫に再度、栄養価が偏ることを理由に、オーダー制をやめるべきだと主張した。そんな中、週末に近所のママ友の日英ファミリーが遊びに来た。ママ同士でワインを飲んでいると、横で、友人の子供たちが夫にディナーのオーダーを始めた。その結果、夫は4つの異なるスパゲッティソースを作る羽目となった。これってやっぱり普通なの?変じゃない?という私の質問に、イギリス人のママ友は、好きな物が違うからねぇと一言。死に物狂いになって子供に野菜を食べさせようとする日本人母の努力など、全く介しないようだ。

 

栄養バランス良く色々と食べさせないといけないという強迫観念に近い使命感を感じる傍、実は、子供にそんな贅沢をさせてはならないという戒めのような気持ちも無視できない。一方で、自分で考えて伝達するという基本的な思考能力や表現というのは、こういったごく普通の日常の中で、ものすごく早い時点で始まっているのかもしれないと思いもする。オーダー制食卓は、親がオーダーをこなす余力がありさえすれば、そんなに悪いことでもないのかもしれない。

【どくだみJAPAN☆は毎週月曜日午後9時にお届けします】

※情報は2014.11.10時点のものです

モンキーディーバ

大学卒業後、大手広告代理店を経て渡英。ロンドンでは日本文化の専門家としてBBCラジオに出演。ディレッタントとしてロイヤルアルバートホールで歌った経験も。現在は、英国人の夫とふたりの子供、生まれたてのボーダーコリーと糸島でスローライフ満喫中。

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