温もりあるコミュニケーションが魅力の「ボードゲーム」

 こんにちは。ボードゲームの企画・販売・講演などを行なっているツムラクリエイション(福岡市)の津村修二です。
 今回は、コミュニケーションについてあらゆる視点で考えてみます。

「さくらの大冒険」全員で話し合いながら船を動かし、世界に散らばる7つの宝を集める協力ゲーム

「さくらの大冒険」(つみきや) 全員で話し合いながら船を動かし、世界に散らばる7つの宝を集める協力ゲーム

いま、ボードゲームが注目されるのはなぜ?
 先日、テレビ番組の取材を受ける機会がありました。こうした取材でよく聞かれるのが「なぜ、ここ数年ボードゲームが流行しているのか?」ということです。

 私はいつもこう答えます。「人間同士のコミュニケーションに楽しさや温もりがあるからだ」と。純粋にゲームそのものが楽しいというのももちろんあると思いますが、その”楽しい”の中には、人と対面して遊ぶことの面白さ、温かさが多分に含まれていると思うのです。

 今やSNSを通して世界中の人と指先一つでつながれる時代。その反面、じかに人と接する機会は極端に減ってしまいました。だからこそボードゲームで遊ぶことに魅力を感じるのだと思います。原点回帰的な感覚で、同じ空間で顔を合わせてみんなで楽しむアナログなコミュニケーションが求められていると考えています。

 その証拠に「リアル脱出ゲーム」(SCRAP)はいまだ根強い人気がありますし、音楽業界ではCDが売れない時代にライブやフェスといった生の音楽体験を求める人が増加するなど、人々のニーズが変化しています。

「カタルナ」(ナゼカ)語りを遊びに変えるカードセット。思考を言語化する、対話を深めるツール

「カタルタ」(ナゼカ) 語りを遊びに変えるカードセット。思考を言語化する、対話を深めるツール

では、そもそもコミュニケーションとは何なのか
 まず、そのことを考える上で、人は1人では生きることができないということを前提として理解しておく必要があります。私たちは一番身近な家族から、友達、恋人、職場、地域、趣味の習い事まで必ず共同体の中で誰かと関係しながら生きています。

 そこで互いを分かり合うために必要なのがコミュニケ-ションです。その基本は大きく二つあるように思います。

 一つは「自分の気持ちを相手に伝えること」、そしてもう一つは「相手の立場になって気持ちを想像すること」です。

  前者について。例えば、車を運転していて、右に曲がりたいと思った時。ウィンカーを右に出しますが、これが自分の思いを言葉にすることに当たります。これによって「右に曲がる」と意思表示をはっきりさせ、周知させることができます。

 もし、ウィンカーも出さずに右折したとしたら、それは大事故につながる危険性があります。その時、事故した相手に「自分はずっと右に曲がりたいと思っていた」と言ったところで、誰が納得するでしょうか。

 やはり、自分の思いはちゃんと言葉にして伝えないと人には伝わらない。黙っていても伝わるだろうというのは、ある種の幻想を抱くようなもので、とても独り善がりの考え方だと思います。

  かくいう私も、口下手で自分の思っていることを人に伝えるのが大の苦手です。むしろ、別にわざわざ言葉にして話さなくても、表情や態度、行動で伝わるからその必要はないだろうと思っていました。

 ところが、社会人として仕事をしていく中で、自分が良かれと思ってやっていることが他の人から全く意図していなかったように捉えられてしまったり、ものすごく準備してしっかり考えて行動しているのに何も考えていないかのように思われてしまったり。あらゆる場面でコミュニケーション不足による悲しいすれ違いが起こるようになりました。

 具材をあちこち探し回って、時間をかけ、愛情を込めて作った料理なのに、レトルト食品だと思われて食べられているみたいな、何というか、そこに一言でも説明があれば正しく伝えられたのに、その言葉が無いばっかりに伝えられなかった悔しさというか。あまりに損なことだな、と。食べる側にとっても、「手作りなら、そう言ってよ」という話で、手作りだと最初から分かっていれば、印象もまた変わっていたはずです。

 つまり、コミュニケーション不足は双方にとっての不幸なのです。大事なことは、心を開き、できるだけ外へ外へと自分の思いを言葉にして伝える努力を続けることです。

「じっくりミレー」(ちゃがちゃがゲームズ)名画の気持ちを想像するゲーム。人によって異なる解釈が楽しい

「じっくりミレー」(ちゃがちゃがゲームズ) 名画の気持ちを想像するゲーム。人によって異なる解釈が楽しい

ボードゲームでコミュニケーション力を育む
 後者の「相手の立場になって気持ちを想像すること」は、「自分の気持ちを相手に伝えること」を相手も同じようにしようとしているから、その気持ちを想像し、くみ取って、言葉の背景にあるものまで理解しようとする姿勢。それは伝えることと同様、コミュニケーションを円滑に進める上で、車の両輪を成すように大事なものだと思います。

 物事を他者視点で捉え、自分とは異なる文脈で考えることができる力は、自分の気持ちを相手に伝える時にも役立ちます。それは相手に対し、どんな言葉を選び、どんな表現をすれば、より響くか、より伝わるかを鮮明にイメージすることができるということ。したがって、想像できる幅が広がれば、コミュニケーションの質も高くなるというわけです。

  コミュニケ―ションとは自分のことを相手にもっと知ってもらいたいという気持ちと、相手のことを自分がもっと知りたいという気持ちの交差であり、そこによりよい関係を築きたいという愛があるからこそ生まれるものだと思います。

 冒頭でボードゲームが流行している理由について「人間同士のコミュニケーションに楽しさや温もりがあるからだ」と述べましたが、全てはここにつながります。結局、コミュニケーションは愛から始まるということです。

 今回、コミュニケーションの基本として挙げた「自分の気持ちを相手に伝えること」「相手の立場になって気持ちを想像すること」を楽しみながら育むことができるボードゲームもたくさんあります。

 私がゲームデザインした協力ゲーム「さくらの大冒険」(つみきや)もそうですし、写真で紹介している「カタルタ」(ナゼカ)や「じっくりミレー」(ちゃがちゃがゲームズ)もそうです。ぜひこういったボードゲームを活用してもらえたらうれしいです。

★728日(日)にボードゲームのイベントを開催します!
 定期ゲーム会「4 津村修二のボードゲームジャーニー」をブックカフェ「本のあるところ ajiro」(福岡市・天神)で午後4時から開催します! 今回は「想像と言葉」と題し、対話型の5種類のゲームを紹介します。本稿で紹介した「カタルタ」や「じっくりミレー」も遊びます。ご参加お待ちしています。

7月28日に開催

7月28日(日)に開催します

4 津村修二のボードゲームジャーニー
日時:7月28日(日) 16:00
場所:本のあるところ ajiro(福岡市中央区天神3-6-8 天神ミツヤマビル1階)
テーマ:「想像と言葉」
料金:1,500円、中学生以下1,000円 ※10歳くらいから参加可。小学生は保護者同伴で
定員:12人 ※要予約。予約はイベント紹介サイトから。先着順
主催:ツムラクリエイション
問い合わせ:本のあるところajiro
電話:080-7346-8139(加藤)

※情報は2019.7.12時点のものです

第4回 津村修二のボードゲームジャーニー

住所福岡市中央区天神3-6-8 天神ミツヤマビル1階
TEL080-7346-8139(本のあるところajiro)

津村修二

ツムラクリエイション代表。ボードゲームクリエイター/アーティスト。
1983年福岡生まれ。幼少の頃よりオリジナルのボードゲームや外遊びを考案し、小学6年生の時に福岡市全住所が登場する巨大すごろく「福岡市大すごろく」を制作。(2014年7月より福岡市博物館1階「みたいけんラボ」にて展示中)
2011年に「ツムラクリエイション」を起業。砂時計を使った新感覚の石取りオリジナルゲーム「Amen-アメン-」の製作と販売を開始する。2019年に「さくらの大冒険」(つみきや)をゲームデザイン。
そのほか、各種ゲーム会やアート展を企画・開催し、ボードゲームの楽しさやデザインの美しさを伝える活動を続けている。
新聞・テレビなどメディアからの取材も多数。現在、天神イムズ6階「つみきや」のスタッフとしても勤務中。
福岡大学商学部篠原巨司馬准​教授ゼミ・ゲスト講師。

ツムラクリエイション
http://tsumura-creation.com/

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