カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリ「少年と自転車」フランス映画

ボンジュール、みなさん! 

黄砂、花粉、PM2.5の飛び交う日々ですが、お花見が待ち遠しい季節となりました。が、そんな身も心も春めく季節には酷な映画を選んでしまいました。ベルギーを代表する映画監督のジャン・ピエール・ダルデンヌとリュック・ダルデンヌ兄弟の作品「少年と自転車」を紹介します。父親に捨てられた少年の映画です。親に見捨てられるという一生消えない心の傷と悲しみがひしひしと伝わってくる一方で、その少年を優しく受入れてくれる里親の女性の寛大な愛情が、彼の人生の光であり、希望となります。

【ストーリー】

父親から強引に施設に送られた少年シリルは、学校へ行くふりをして父親と暮らしていたアパートを訪ねるが父親は引っ越して連絡もつかない。彼の大事にしていた自転車も父親が勝手に売りとばしていた。彼を探しに来た学校の先生から逃れようと、ある病院に逃げ込んだとき、ひとりの女性サマンサと出会う。彼女に週末だけの里親になって欲しいと頼み込み、週末をふたりで過ごしながらシリルは何とかもう一度父親と暮らしたいと必死で探す。サマンサとやっと父親を捜しあてるが、父親から「重荷だからもう会いに来るな」と冷たく拒絶される。深い心の傷を負ったシリルをサマンサは、それまで以上に真摯に彼と向き合い、愛おしく思うのだが、自暴自棄になったシリルは反抗するばかり。ワルと評判の若者と付き合うシリルを彼女は必死でとめるのだが、、、、。

 

拒絶されてもなお父親を慕い、会いに行く少年の心が痛ましい。親に愛されない子どもの悲しみが全編を通して胸に突き刺さります。シリルの希望の光となるサマンサのおおらかな愛情は、一切描かれていない彼女の生い立ちもシリルのそれと重なるのではないかと思わせます。さりげない日常の会話の中にいろんなことを感じさせる映画です。加害者と被害者の立場が逆転し、人間の善悪は紙一重であることも少ないせりふから感じ取れるのはダルデンヌ兄弟の映画の特徴でしょう。「息子のまなざし」(2002年)、「ある子ども」(2005年)もお薦めです。

一緒にいてくれたら、それだけでいいのに。

一緒にいてくれたら、それだけでいいのに。

 

説明をしない映画は観る者の想像力をかき立て、一人ひとりの異なる感性からオリジナルのシナリオを作れるという楽しみがありますね。

 

では、花見の後の映画は何にしようかなぁ。お楽しみに!

 

 see you next…

※情報は2015.3.30時点のものです

銀幕ヨーコ

趣味は映画、美術、音楽鑑賞、旅行、読書、さらには空手。

映画は邦画、洋画、ジャンルを問わずなんでんかんでん観ていた時代を経て(オカルト系は苦手)、やっぱりヨーロッパ映画が一番好き。でも韓国映画もいい、中国、台湾、いやインド、イラン映画も捨てがたいな。そうやって私の好きな作品を選別していくと、実は世界の名監督たちが日本の小津安二郎監督作品に強く影響されているという共通点があったんです。これから小津作品に影響力受けた各国の名画を中心においおいご紹介したいと思います。

よろしく!

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