日本ワインの個性~日本のテロワールについて~

こんにちは。

ゴールデンウィーク真っ最中ですね。

今日のお題は

「日本のテロワール」

…。

[ピクニックにぴったりのワインベスト10]に変えたほうがいいのかなってちょっと弱気になりますね。

 

さぁ、でも弱気に負けずにいって見ましょう~。

 

テロワールって?

テロワールはその土地の個性のことで、ブドウ畑を特徴つける自然の要因、つまり土地の性質と構造、日照、方角、地形、気象、それに結びついている微気候のことです。

フランス ブルゴーニュ地方 ペルナンベルジュレスの丘

フランス ブルゴーニュ地方 ペルナンベルジュレスの丘

ワインをお好きな方なら三日に一回くらい耳にされている、あるいは口から出ているのではないでしょうか?

 

ワインメーカーの方にお話を伺うと大体10人中8人くらいは「その土地のテロワールを現すワインつくりをしています」というようなお話をなさいますし、実際私自身も仕事に使用するワインを選ぶときに、その土地で作られたその品種らしさが出ている物、この「らしさ」「産地の自然な個性」をとても大切に選んでいます。

 

では、「その土地のらしさ」って何だ?

…というお話になると若干複雑です。

例えば「ナポレオン戦争よりも昔から我が家はこういうワインをつくっとるんじゃ」みたいなフランスの農家の方や、私の実家のように先祖代々どこの田んぼでどんな米ができるか経験的に身についているなら、どっしりと確固たるテロワールの概念があると思います。

 

でもアメリカや日本のように、ワイン作りにそんなに古い歴史を持たない国の場合はテロワールの個性って誰がどんな風に作るのでしょうか?

それに、昔からワインを造っているフランスやイタリアでさえ、市場を世界に広げたことで最近このテロワールという言葉の本質が少し変わってきていると思うんです。

 

ここからちょっと難しいですよ。

気合入れていきますね。

 

マスセレクションとクローンセレクション

先日「マスセレクションで作ってます!!」というシャンパーニュをいただきました。

マスセレクション!?

一体何でしょう??

 

葡萄は、たくさんあってもそれぞれ少しずつ違った個性を持っています。

同じ葡萄でもなんとなくパイナップルの香りが強いとか、リンゴが強いとか、桃だとかキャラクターが違うんですネ。

もちろん、ワインにしたときに色が濃くなる、酸味が強いなど香りだけでなくいろんなことにそれぞれのキャラクター持っています。

フランス ブルゴーニュ地方 ボーヌ

フランス ブルゴーニュ地方 ボーヌ

ここに、美味しいワインを作ってらっしゃる方がいたとします。畑を広げよう、あのあいてる畑に新しく葡萄を植えよう…と思いついたとして

苗木はどうすると思いますか?

そこには二つの選択肢があります。

 

代々の伝統を重視するつくり手は

まず葡萄根アブラムシという厄介な虫に強い台木をずらっと植えておいて…、そこに自分の自慢の畑から「この葡萄いいなぁ。いいキャラクターだなぁ」と思うお気に入りの葡萄数本からとった芽(穂木)を接木するんです。これがマスセレクション。

 

そうするとその葡萄もまた親と同じようなキャラクターをもったワインになるんですけども、マスセレクションの場合はクローンではなく、なんだかいい感じの共通個性を持った親戚が並ぶというイメージになります。

 

一朝一夕で出来る簡単な作業ではないので時間と手間がとてもかかりますが、それで出来上がる葡萄やワインというのはやはりその土地に代々受け継がれた葡萄である場合が多いので「テロワール」も受け継いでいますよね。

 

ここまでOKですか?

 

もうひとつは

苗木やさんでクローンセレクションの葡萄を購入します。

クローンといっても遺伝子操作で生まれてくる種…なんてことはなくて

まったく同じ遺伝子をもつ同じ木の芽を接木して増やすんです。

マスセレクションだと出身地が同じで似たような親戚が畑に並んでいるのに対し

クローンだと、全く同じ人間(葡萄)がずらっと畑に並ぶというイメージです。

接木をされ出荷をまつ葡萄の苗木

接木をされ出荷をまつ葡萄の苗木

クローンはある種の個性を際立たせているものが多く、これをどう組み合わせるかによって出来上がるワインは違う味わいになるそう。

現在葡萄用、生食用あわせて800ちょっとのクローンが存在しますが、クローン選定をする際には5年間の試験栽培、最低3年の試験醸造が行われるのでそれはそれですごく大変な技術だといえます。

 

同じ故郷で似たもの同士の集まりであるマスセレクションの葡萄に対して、

突出した個性を際立たせたまったくのコピーであるクローンセレクションには故郷は関係ありません。

 

計算されたワイン作り

クローン選抜でのワイン作りが最も進んでいるのはカリフォルニアではないでしょうか。

先日お話をお伺いしたカリフォルニアでワインを作るシャトーノリアの中村さんは

クローンを駆使してワインつくりをなさっている方のお一人。

「ワインっていうのはまず、こんな味わいしたいなぁ~というゴールを決めて、そのゴールに向かってまずクローンを選ぶ。これとこれとこれをブレンドしたら最終的に自分の作りたい味わいのワインが出来上がる」と計算するんですとのこと。

な、なるほど~~~。

右:シャトーノリア 左:ペトロンチェリ いずれもカリフォルニアのワイン

右:シャトーノリア 左:ペトロンチェリ いずれもカリフォルニアのワイン

さてでは、新興国のテロワールって誰が決めるのか?という話に戻ると・・・

これは実は中にはマーケティング的に作られたものもあるそうなんです。

 

例えばオーストラリア…。

オーストラリアには実に様々な個性のセミヨンが育てられています。有名なのはハンターヴァレーのセミヨン。非常にドライでクリーンなイメージのセミヨンです。

対して西オーストラリアのマーガレットリヴァーのセミヨンはリッチでたっぷりした個性をもっていおます。

これはマーガレットリヴァーのほうがあとからセミヨンに着手したので明確な個性の違いを出そうという戦略があったそうなんですね。

 

多かれ少なかれ、ワイン業界にはこのキャラクターつくりの戦略が行われています。

伝統的にワインをつくるフランスだって、自分の畑のワインの個性をより際立ったものにするためにクローンセレクションの技術を導入するところも多いと思います。

 

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