千年を考える神社の日常 変わりゆく時代の中で ぶれない軸あってこそ

神社の中で日々感じるのは、100年、1000年さらには2000年の時間軸で考えるというスケールの大きさです。

 

営業職として、3カ月ごとの決算で目の前の数字に追われていた会社員時代、目先の5年、10年、長くても自分が生きている間のことしか考えていなかった私が、まさか1000年先のことなど…。

 

今では、御祭神の菅原道真公が生きておられた1100年以上前に思いを馳せたり、900年以上続く神幸式というお祭りはどのような思いで始められたのか、境内の樹齢1500年のクスノキは次の1500年後も元気だろうか、などと考えたりすることがあります。神社には伝統あるものがたくさんありますが、決して古びれないのは神社もその時代時代を生きているからだと思います。

 

太宰府天満宮では昨秋、デンマーク出身のフラワーアーティスト、ニコライ・バーグマン氏による展覧会が開催されました。

境内全体に北欧の豊かな色彩が溶け込んだ美しい展覧会でしたが、中でも印象的だったのは、御神前に奉納された、榊にカトレアを配した作品でした。

菅原道真公がどのようにお感じになるかをイメージして作られた作品。日本の伝統を敬うニコライさんの思いと今を生きる神社が、時間と空間を超えてコラボレーションし、まさに展覧会のタイトルどおり「伝統開花」したのを目の当たりにしました。

常にスピードが求められる現代社会。だからといって変化だけを求めては100年後には何も残らないかもしれません。ずっと変わらない、ぶれない軸があるからこそ新しいことに挑戦できるのだと思います。

写真撮影は酒井咲帆さん

※情報は2015.5.30時点のものです

高山博子

太宰府天満宮神職。早稲田大卒業後、11年間の外資系企業での勤務を経て神職となる。御本殿での祈願や祭典奉仕をはじめ、神社のさまざまな仕事に携わる。世界33カ国を旅しフルマラソン5回完走のアクティブな一面もある。

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