ワインを知ろう、深めよう(その2 Vinyard Location & Vintage)

前回からご紹介している、ワインを知るための4つの「V」

・Variety(葡萄品種)

・Vinyard Location(葡萄畑のロケーション)

・Vintage(収穫年)

・Vintner(作り手)

 

前回は「Variety(葡萄品種)」について書きましたので、今回はその続きとして

Vinyard Location(葡萄畑のロケーション)と、Vintage(ヴィンテージ)について触れてみましょう。

 

Vinyard Location

畑のロケーションはテロワールに通じます。

テロワールとはその土地の個性のことで、ブドウ畑を特徴つける自然の要因、つまり土地の性質と構造、日照、方角、地形、気象、それに結びついている微気候を指します。

これをこと細かく説明すると長くなるので、ここでは

「ワインショップへ行き、ワインを選ぶ上での基準となるおおまかな地理的ワインの判別」に限定して考えてみましょう。

ワインショップを訪れると…大抵ワインは産地別に並べて販売されていますよね。

ワインの産地といえば、フランス、イタリア、スペイン、ドイツ…

そしてニューワールドといわれるオーストラリアやアメリカ、チリ、アルゼンチンなど

世界の約60カ国に及びます。

 

「あぁっ!何を選ぼう。こんなにあったらわからない!!」

と、なる前にちょっと想像してみてください。

 

北国でできるフルーツと、南国のフルーツ

何が違うでしょう?

 

日本では北のフルーツといえば青森のリンゴですよね。

南の代表は宮崎のマンゴー。

 

日本に限らず、北のフルーツは淡い色合い~白い色合い

南へいくと色は黄色や紫など濃くなります。

 

スーパーへ行って果物を購入するとき、「今日はどんな気分かな。リンゴ…いやいやグレープフルーツ食べたい」と大抵の人はそれぞれ食べたい果物は決まっていて、一か八かで果物を購入される方は少ないはず。

 

ワイン選びも同じことが言えます。

というのもワインの原料は葡萄…そう、果物ですから

冷涼な気候でできあがった葡萄からは酸の高い青みを感じるような香りや味わいがあります

白ワインでいえば、青リンゴやシトラス、グレープフルーツ、ライム、レモンなど。

赤ワインも色は濃くてもハーブやピーマンなどどこか涼やかな味わいをもつのが冷涼な産地のワイン。

南の国のワインは完熟したふくよかな香りや味わいがあります。

白で言うと黄桃や、マンゴー。

赤ワインの場合は、ジャムやドライフルーツにしたプラムやイチゴなどです。

 

  香り 味わい アルコール

冷涼な気候

標高高い山地

緑がかった淡い色合い

柑橘類

青リンゴ

ハーブ

さわやかな酸味 低め

温暖な気候

標高低い平地

白:黄色が強い

濃い色合い

マンゴー、黄桃

トロピカルフルーツ

赤:加熱した果物

やわらかな酸味

豊かな果実味

高め

 

冷涼な産地というのは北ヨーロッパなど地理的に北部である場所や、緯度は低くてもアルプスやピレネーなどの山岳地帯にからむ標高の高い産地。

南半球ではより南極に近いニュージーランドや、南アフリカの南端あたりのこと。

 

温暖な産地の代表はオーストラリアや南フランス、南イタリア、スペイン、そして日本の山梨などです。標高の低い平地や、たとえ北のほうでも暖かい海流の影響をうける場所は温暖だといえます。

 

北でも甘いドイツのワインは?

ドイツワインのイメージは甘いものが多くありませんか?

今は辛口に仕立てるものも多くなりましたが、昔からドイツワインは葡萄をじっくり完熟させ遅摘みにして糖度をあげるか、後からワインへ葡萄果汁をたして甘くアルコール度数の低いワインをつくっていました。

甘みをプラスするのは専門的にはPH(酸度)と糖度とのバランスが悪いからだそうなんですけども…。

簡単に言うと、北の産地で自然に作っては葡萄が完熟せずいくら「遅摘み」といっても青みがかった未熟な味わいになりがちなので、糖分を足して飲んだときのバランスをよくするためなんだとか。

 

逆に南の古典的な産地、南イタリアなどでは非常にまったりとフルボディのワインができあがり、酸味の少ないのぺっとしたワインも中にはあるものの…

優良な生産者のものは葡萄を健全な状態で完熟させるためにPHが低くなり酸味と甘みのバランスがとれていますし、また酸味あるリンゴ酸をまろやかな乳酸にかえる乳酸発酵をあえてせずにワインつくりをしますので甘みと、しっかりした酸があり、飲んでいて飽きない骨格のあるワインとなります。

 

ワインの糖というのは体の肉付き。酸は骨格で美しさのためにはどちらも大切なんです。

人もワインもその辺はよく似ていて

北でも、南でも美味しいワインは酸味と甘みのバランスがうまくとれていると思います。

 

VINTAGE(収穫年)

ヴィンテージは葡萄が収穫された年のことで、イタリアのテーブルワインなど一部のワインを除いてはたいていボトルにどーんと書いてあります。

暑くてよく晴れた年はよく熟した葡萄ができるので、どっしりした、柔らかい味わいのワインができます。

涼しかった年は逆に、葡萄があまり熟さないため、酸味のはっきりした比較的アルコール度数のひくい、すなわち軽くてキレのあるワインができます。

 

よく言うビッグヴィンテージとは

十分に寒い冬のあと、遅霜の害をさけゆっくりとつぼみがつき、程よい雨のふる温かい春と、乾燥した熱い夏。そして収穫まで雨の害に合わなかった…というような年のこと。

 

気候は各地でそれぞれ大きく異なりますので世界で一様ではありません。

ボルドーでは近年では1989年、1990年、2000年、2005年など

ブルゴーニュでは、1990年、1999年、2002年、2005年でしょうか

 

良いヴィンテージのワインは長命でバランスが良いですが、お値段が高くなりがちです。

しかも、恵まれた環境で育ったためでしょうか?

瓶に入れられてから若干の反抗期があるというか…飲み頃にうるさい場合があります。

若いうちは固かったり、閉じている時期があったり…

 

難しいヴィンテージ…夏や収穫時期に雨が多かったり、夏に雹がふったりした難しい年の葡萄は軽めの味わいになりがちですが、価格がお求めやすく、また若くても美味しく飲める素直な性格をもつワインとなります。

「子供のころ貧しかったけどお父さんが一所懸命育ててくれたから、僕頑張る…」というようなワインになると書くとわかりやすいでしょうか?

こう書くと人とワインというのは本当によく似ていますね。

 

私は良いヴィンテージだから良い、難しいヴィンテージだから悪いとは思いません。

それぞれワインが持つキャラクターを知って、どんなシチュエーションで、誰と一緒に、どんな気持ちで、何のお料理と一緒にいただくのかで使い分ける良いと思います。

それに、一流といわれる作り手はたとえ悪いヴィンテージでも最善を尽くしますので難しい年になればなるほど作り手の力量をみることができるのもワインの面白さの一つでは無いでしょうか?

難しければ難しいほど

ワインの向こうに作る人の努力と汗と気持ちが見えてくる

 

思うようにことがすすまず、苦しい状況でも

なんとか美味しいものにできるよう苦心惨憺して作り上げたワインは、ある種のパワーをもっていて人を感動させるに値させるような力があると思います。

 

※情報は2015.6.4時点のものです

伊藤 治美さん

福岡市のレストランでソムリエとして勤務。2014年度公式ベネンシアドール(スペイン、ヘレス地方の特産品であるシェリー酒の専門職)認定試験に合格。福岡県内で2人目のベネンシアドーラ。シニアソムリエ、チーズプロフェッショナルの資格も持つ。プライベートでは2児の母。

伊藤さんのインタビュー記事⇒https://fanfunfukuoka.com/people/19834/

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