食といのちの関係を考える絵本「あひる」(作・石川えりこ/くもん出版)

福岡県嘉麻市出身で横浜市在住の絵本作家、石川えりこさんの絵本「あひる」が、くもん出版から出版されました。

譲り受けた家畜を食べた話を通じて、食といのちの関係を、静かに、力強く伝える一冊。今月初め、福岡市で石川さんの絵本の原画展「ボタ山であそんだころ」(第46回講談社出版文化賞絵本賞受賞)が開催されましたが、「ボタ山であそんだころ」同様、「あひる」もまた、子どもたちの生き生きとした動きや繊細な心の揺れが表現されています。

 

自宅の鶏小屋から、毎朝卵を取ってくるのが日課の主人公「私」の目を通して、「食べるとは、命をいただくこと」と気づかせてくれる一冊です。

 

ある日、隣町のおじさんから、体が弱ったあひるが一羽届きます。私と弟は、初めて間近にみるあひるに興味津々。元気になってもらうために、翌日あひるを近所の川に連れて行くことにしました。川で運動させると、あひるは食欲も出て、少し元気になった様子です。あひるが元気になってうれしい二人は、次の日も鶏小屋目指して、校門から駆け出します。ところが鶏小屋につくと…鶏小屋にはにわとりしかいません。台所に飛び込むと、そこはお醤油とお砂糖のまじった、いい匂いでいっぱい。その日の夕飯は、私も弟も大好きな野菜とお肉の煮物でした。

 

食事後に、「これ、あひるじゃないよね」と母に質問する弟。「ちがうよ」と優しく答える母。「あひるじゃなければよかったのにな…」と思いながら、ランドセルのふたを、ぱたりとしめる「私」-。

 

食べるとは、命をいただくこと。

食卓に並ぶ食べ物のルーツについて身近に感じる機会が少ない今、子どもたちはもちろん、大人にも届けたい絵本です。

 

※情報は2015.7.28時点のものです

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