【曽我由香里】愛用の靴が廃盤に 職人不足の現状を知り ものづくり応援したい

コロッとした見た目と履き心地が気に入って、もう3代引き継いできたお気に入りの靴がある。最初は紺色、その次も紺色。飽き足らず濃い緑を手に入れ日常的に履きまくっていた。そろそろソール(靴底)が擦り切れてきた。次の代に引き継ぐか、と店に足を運んだ。ない。私の足には到底会わない小さいサイズの黒とヒョウ柄が1足ずつあるのみ。

 

聞けばソールのゴムを縫い合わせる工場がつぶれてしまい、製造ができなくなったと店員さんは残念そうに教えてくれた。手だてを考えているが、コスト面、技術面で条件の合う職人さんが見つからないそう。恋人に突然別れを言い放たれたような絶望感。失って初めてその大切さに気付くものだと、世の常みたいなことをこんなタイミングで実感する。遠慮なく履いていたその靴が、急にこの世で一足の貴重なものと変わり、登板回数をグンと減らすことにした。

 

どんな職人さんがこのソールを縫い合わせていたのか、どんな場所で作られているのか。私、なにも知らないじゃないか。情けない気持ちになった。お店の方が企画して国内で作られていることは知っていたのに。

 

技術は淘汰され、必要に合わせて変化する。必要とする人がいるから残っていく。きっとそれは連綿と続く。だから嘆いてばかりはいられない。自分のお気に入りのものと長くお付き合いできるようにと考えればいい話。そういう大切なものができるだけ身の回りに増えていけばいいなと思う。ものづくりを応援するとはそういうことかもしれない。この靴が私のようなファンの声によって、いつの日か復刻してくれますように。

 

 

※情報は2015.8.31時点のものです

曽我 由香里

出版社、デザインスクール勤務を経て、2011年より、ダイスプロジェクト所属。広告ディレクター、編集担当のほか、九州のワクワクを掘り起こす「アナバナ」編集長として九州を奔走中。

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