最先端のグローバル教育とは?国際バカロレア導入のサマースクールを体験!

今年の夏、里帰りでロンドンへ。どうせなら、とふと思い立ち、7歳と5歳の子供を現地のサマースクールに入れてみた。

 

ロンドン中心部にあるインタナショナル・コミュニティ・スクール(ICS)が運営する3歳から17歳まで受け入れるサマースクール。ICSとは、イギリスで5つしかない、3歳から19歳までという長いスパンで国際バカロレアを導入している教育期間。その学校が、夏休みの間、世界中から集まってくる子供たちにスクールを開校している。

 

ここ最近、日本でも広く認知されてきているが、国際バカロレアとは、1968年に国際バカロレア機構(本部ジュネーブ)が導入した国際的な教育プログラムで、世界の複雑さを理解して、そのことに対処できる生徒を育成し、生徒に対し、未来へ責任ある行動をとるための態度とスキルを身につけられると同時に、国際的に通用する大学入学資格を与えるもの。

いわゆる小学校に相当するのがプライマリー・イヤーズ・プログラム(PYP)で、3歳から12歳を対象とし、精神と身体の両方を発達させることを重視している。中学校に相当するのが、ミドル・イヤーズ・プログラム(MYP)で、11歳から16歳を対象としている。そのあと、ディプロマ・プログラム(DP)が16歳から19歳までを対象としており、所定のカリキュラムを2年間履修し、最終試験を経て所定の成績を収めると、国際的に認められる大学入試資格(国際バカロレア資格)が得られる。原則として、英語、フランス語またはスペイン語で実施。

 

国際バカロレアはどこかの国の教育制度に依存しているわけではないため、なかなか、普及しにくく、浸透は緩やかであるが、ここ最近、グローバル社会で生きるビジネスマンが増加し、国境を越えた移動が増えてくるにつれ、彼らの子弟の教育のニーズも高まり、国際的に徐々に注目されてきている。日本でも、導入している教育期間は増加の傾向にある。

 

サマースクールに集まったのは、世界54カ国から来た601人の子供たち。その母国語の数たるや、30もの多様性が見られた。親の中には、英語を一言も話せない人もいれば、片言だけの人も。いずれも、次世代を担う子供たちに英語を学ばせたいという強い意志が共通していた。

毎週月曜日、生徒ひとりひとりのレベルチェックをし、上達の早い生徒や、ついていけない生徒は、より良い環境を整えるためにクラス替えをされる。毎日、授業が終わったあとには、先生同士の情報交換会があり、個々の生徒の課題や改善点が議論されていた。

 

5歳の娘は中国から来ていた男の子に恋に落ち、ひと夏の恋を経験、最終日には、チューをしたと話してくれた。来年も会おうね、と約束したそうである。息子が仲良くなった生徒はロシア人で、親は英語が話せないため、残念ながら全くコミュニケーションがとれなかった。最初の数日間は行くのを嫌がっていたのに、最終日には、クラスのみんなに、「See you next year!」と大声で叫んでいた。

先生(右)に太極拳を教えたという長女。

先生(右)に太極拳を教えたという娘。

私の世代からすると、これって本当にすごい現象だと思う。

 

私には強い故郷意識があり、イギリスに10年近く住んでいたときも、定期的に、身体をえぐるようなホームシックにかかったものである。日本に戻るとまたイギリスに行きたくなり、日本とイギリスの狭間で、心が大きく揺れ続けた。その度に、体調を崩したりもした。日本という自文化、イギリスという異文化、常に二項対立であった。

 

グローバル企業に勤める私は現在、ダイバーシティを具現化したような職場で働いている。先日シンガポールからの同僚が、父親も母親もイギリス人だけどイギリスに一度も住んだことがなく、イギリスはホリデーの場所と言っていた。「私よりもイギリス人っぽいね」と彼女に言われたときには、本当に不思議な感覚になった。

 

ある意味、彼女は真のグローバル人間。どこかひとつの国の規律や慣習に故郷意識があるわけでなく、友達は、すべて、インターナショナルスクールの、まさにグローバリゼーションの中にいる人たち。きっと国境間の距離や文化の差というものは、心理的に影響を与えるような事象でもないのかもしれない。

 

室生犀星の「ふるさとは遠きにありておもふもの」を読み、じーんとしていた私と、これから増殖する、「グローバル人」とは、おそらく、じーんとくるツボが違うんだろうなぁということだけは想像できるが、何がどう違うのかは、やはり分からない。

親が子供の将来を無理強いするのにも限界があると思う。だって、親には、自分が経験したことしか言えないからね。自分が経験したことのないことを想像できる力が必要になってくる。

 

※情報は2015.9.7時点のものです

モンキーディーバ

大学卒業後、大手広告代理店を経て渡英。ロンドンでは日本文化の専門家としてBBCラジオに出演。ディレッタントとしてロイヤルアルバートホールで歌った経験も。現在は、英国人の夫とふたりの子供、生まれたてのボーダーコリーと糸島でスローライフ満喫中。

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