時は全てのものに流れる シイタケの成長に思う

夜遅く、家のそばでフクロウと出合った。目線と同じ高さにとどまってこちらをジーッと見ている。「最近、ウサギを見掛けなくなった」と娘が言いだした。秋になり木の葉が落ち、隠れる場所のないウサギを心配していた。日々積み重なる落ち葉を踏みしめる感覚が何ともいえず好きなのだが、動物たちにとっては、危険が増す季節なのかもしれない。

 

 「どこにいようと、すべてのものに平等に同じ時が流れている。その事実は、考えてみると、限りなく深遠なことのような気がしてくる」。写真家の星野道夫さんの言葉が思い出された。

 

先日、卵をお届けしている料理店の方々が、立て続けに来てくれた。皆で作業し、持ち寄りのお昼を食べた。シイタケを収穫したので、どんなふうに料理するのが一番おいしいか尋ねたところ、やはり塩焼きが一番とのこと。そこで三瀬の郷土料理(?)を紹介した。ナバ酒である。シイタケに軽く塩を振り、炭火で焦げ目が付く程度に焼く。どんぶりにシイタケを入れて熱燗を注ぐ。ジュワーッと立ち上る蒸気から、シイタケの甘い香りがしてくる。これを両手で抱えぐびぐび飲むのである。

 

このシイタケ、できるまでには、約2年の歳月が掛かる。冬に原木を倒し、春に菌を打ち、秋まで待つ。それからこのほだ木を組んで次の年の秋に採れだす。原木の成長から考えたら、娘と同じくらいの時を刻んだシイタケである。思わぬところに、時間の流れのつながりを感じた。

 

今日も雨が降っている。雨が上がったら、きっとシイタケがたくさん出てきてくれるだろう。できればウサギにも会いたい。

 

※情報は2015.11.22時点のものです

小野寺亜希

神奈川県の海岸沿い、湘南で育つ。結婚を機に大手広告会社を退職し、福岡へ。九州の豊かな自然暮らしに魅了され「地に足がついた暮らし」を求めて佐賀市三瀬村に移住。養鶏「旅をする木」を夫婦で営む。娘2人。

小野寺亜希

神奈川県の海岸沿い、湘南で育つ。結婚を機に大手広告会社を退職し、福岡へ。九州の豊かな自然暮らしに魅了され「地に足がついた暮らし」を求めて佐賀市三瀬村に移住。養鶏「旅をする木」を夫婦で営む。娘2人。

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