【アーヤ藍】スラムで強く生きる人々 「豊かさとは」を考える

世界はどうしようもなく不平等で理不尽。この秋、中南米を旅して一番強く感じた「現実」だ。中でも印象深かったのがペルー。

 

首都リマは、高層ビルが随所で建設中で、発展のさなかにある様子が伝わってきた。住宅街には大きな家々が立ち並ぶが、やりのようなトゲトゲした塀で覆われ、通りを歩く人は少ない。タクシーを拾ったら「道端に1人で立っていたら危ない!」と運転手に怒られ、ちょっと良いレストランでは、手荷物を椅子に縛るためのチェーンを渡された。

 

そんな街中から車で約1時間離れると、木一本生えていない砂肌の山腹にバラック小屋が立ち並ぶ。発展から取り残されたこのスラム街で、貧しい女性たちに編み物を教えている日本人女性がいる。

 

「自分がここからいなくなったら、彼女たちが暮らしていけなくなってしまうから」

 

57歳でこの土地に来て10年以上活動し続けている彼女の言葉は、小柄な体からは想像がつかない力強さに満ちていた。

彼女の下で働く女性たちはそれぞれ複雑な事情を抱え、抜け出すことがほぼ不可能な「貧困」の中にいる。だが、彼女たちの目の輝きとその奥にある芯の強さはそうした苦境を感じさせず、はにかむ笑顔はとても愛らしかった。子どもたちが夕日に照らされ元気に走り回る姿を眺めていると、常に緊張感が漂っていた都市部よりも和やかな気持ちになった。時折崩れるというその山腹からの眺めは、皮肉なくらい美しく記憶に焼き付いた。

自分が手にする物が増えるほどに、人はそれを守ろうと懐疑的、閉鎖的になるのではないか。何が「豊か」なのか、今もペルーを思い返しながら時折考えている。

 

▼女性たちに縫い物を教えている日本人女性、鏑木玲子さんについて
http://www.47news.jp/47topics/ningenmoyou/180.html

▼女性たちの手縫いの製品はこちらで購入可能です。
http://maite-jp.com/about/peru/

 

※情報は2015.11.28時点のものです

アーヤ藍

ユナイテッドピープル(福岡市)取締役。社会問題をテーマとした映画の配給を行う。特に戦争や紛争、差別偏見、虐待など「ヒトがヒトを傷つける」問題に関心が強く、仕事、プライベート問わず発信している。1990年生まれ。

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