【長廣百合子】育児 周囲の心無い一言 批判より励ましの心を

 「こんな人混みに小さな赤ん坊を連れてきて」。そう言われたのは、31年前の母。生後2ヶ月ほどの私を抱き、福岡市・天神の銀行を訪れていたときのことだった。見知らぬ年輩女性からの一言を今でも覚えているのは、母が特別執念深いからではない。誰にも預けられない「こちらの事情」をおもんぱかることの無い一言への驚きが、強烈な記憶として残っているからだ。誰が好んで人混みに連れて行くものか。「言われても仕方がない」と思う一方で、やり場のない感情が込み上げた。

 

そんな母に仕事のたびに娘の子守をお願いしている私は、いま時点で子育てにおいて見知らぬ人から心無い一言を浴びるような経験はしていない。しかし、かつての母と同じように「言われても仕方がない」という思いの持つ苦々しさを度々味わっている。

 

例えばこんなことがあった。「今日は遅くなる。申し訳ないけど、寝かしつけまでお願いね」と母に頼んで仕事に出た。結局帰宅したのは午後11時。日中娘が熱を出したことも重なり「母親なら子どもの顔色が分かる時間に帰ってきなさい!」と叱られた。息苦しそうに眠る娘を前に、返す言葉もなかった。

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