から揚げ弁当と朝鮮学校の友人の思い出

から揚げ弁当、ありますよね。

弁当チェーン店の、400円弱くらいの、から揚げ数個と味のないパスタとサラダと漬物に、白ごはんのあのお弁当。私、あれの美味しい食べ方を知っています。

まず、お弁当の中の胡椒の小袋を取り出します。無視されがちな小袋ですが、フル活用します。その胡椒を、味のないパスタに半分だけかけます。そして、残りを白ごはんにかけるのです。以上、完成です。

まあ、胡椒をごはんにかけただけなのですが、あのから揚げ弁当の場合、おかずとごはんの比率を考えると白ごはんの量が多くて残しがちになるのです。そこに胡椒をごはんにかけることによって、最後まで美味しく頂けるのです。

 

この技を教えてくれたのが、友人のミョンファでした。

私の生まれ育った場所には大きな朝鮮学校と在日の方が経営される焼肉屋さんが沢山あります。母方の実家が肉の卸屋ということもあり、幼い頃から豚の尻尾やホルモンが好物だった私は、似た食文化を持つ在日コリアンの方々と仲良くさせて頂きました。

友人になったミョンファは、朝鮮学校の副生徒会長で、頭脳明晰。小顔で色白の、美人。更に性格もいい。ああいう子を見ると、神は平等ではないなと思います。

当時、朝鮮学校の制服はチマチョゴリでしたが、白い襟元の彼女の爽やかな笑顔をよく覚えています。ふたりでから揚げ弁当の白ごはんに胡椒をかけながら、色々な話をしたものです。

チョゴリのミョンファと一緒に歩いていると、在日の同胞の方に母語で挨拶されるということがよくありました。ミョンファに聞くと、面識のない人でもこちらがチョゴリ姿だと同胞だと分かるので母語で挨拶してくれるのだとのことです。

またあるときミョンファと無印良品に行くと、チョゴリの丈を短くした女の子に出くわしたのですが、ミョンファと目が合うなりその子が顔面蒼白になったのです。ミョンファに聞くと、朝鮮学校の生徒副会長という立場は日本のそれとは比にならないほど権威のあるもので、放課後、チョゴリの丈を短くして街に出ていた女生徒は、そんな姿を生徒副会長のミョンファ様に見られたとのことで非常に狼狽してしまったのだろうとのこと。普段は私の悪ふざけに付き合ってくれる彼女にはそんな一面もあるのだなと驚きました。

 

話は変わって2015年の暮、私は着物でソウルにおりました。大晦日に和装でソウルの街を散策していると、物凄い数の武装警官と出くわしました。

左奥で集会が行われている。武装警官によると、夜通し行われているとのこと。

左奥で集会が行われている。武装警官によると、夜通し行われているとのこと。

何事か問うと、すぐそばに従軍慰安婦像があり、撤去反対の集会が行われているとのこと。なるほど例の慰安婦像か、私も集会に飛び入り参加したいなと思ったのですが、和装だと他の参加者の気持ちを傷つける恐れがあったので、自粛しました。

ぎりぎりの距離から集会の様子を見ながら、チョゴリ姿で日本社会に育ったミョンファと、着物姿でソウルにいる自分を比べました。そしてふたりで食べていたから揚げ弁当の胡椒ごはんを思い出し、なんだかしょっぱい気持ちになったのでありました。

 

※情報は2016.1.4時点のものです

カミーユ綾香

北九州市出身。在日韓国人と中国残留孤児の多く住む多国籍な街で育つ。 警固インターナショナルの代表として、十数言語による語学スクールとインバウンド支援の多言語ウェブサイト制作会社を運営する一方、難病の重症筋無力症とパンセクシュアルというセクシュアリティの当事者として、様々なマイノリティの生きやすい社会を目指して精力的に活動中。http://www.kego-international.com/

カミーユ綾香

北九州市出身。在日韓国人と中国残留孤児の多く住む多国籍な街で育つ。 警固インターナショナルの代表として、十数言語による語学スクールとインバウンド支援の多言語ウェブサイト制作会社を運営する一方、難病の重症筋無力症とパンセクシュアルというセクシュアリティの当事者として、様々なマイノリティの生きやすい社会を目指して精力的に活動中。http://www.kego-international.com/

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