「文化続く限り国は続く」アフガンの博物館に学べ

長年観たかった80年代初期の映画「愛と哀しみのボレロ」が再上映されると聞いて、映画館に観に行った。指揮者ヘルベルト・フォン・カラヤン、ジャズミュージシャンのグレン・ミラー、バレエダンサーのルドルフ・ヌエレフ、歌手のエディット・ピアフの4人の芸術家をモデルとして、第2次世界大戦前から60年代までの、彼らの波乱万丈の人生を描いた映画だ。

パリのエッフェル塔が正面に見えるトロカデロ広場で、天才バレエダンサー、ジョルジュ・ドンが「ボレロ」を踊るクライマックスは、生涯忘れられないシーンとなった。

数日余韻に浸りながら考えたことがある。舞台になったヨーロッパ各国の芸術に対する姿勢についてだ。国を挙げて芸術を振興しようという姿勢が映画を観ているだけでよくわかる。

文化庁が収集した情報によると、英国、フランス、ドイツ、中国、韓国、日本のうち、文化予算が多いのはフランス、次いで韓国、英国とくる。日本は情けないことに最下位だ。国家予算に占める割合も日本は下から2番目。博物館で働いていて肌では感じていたが、結果を見てやっぱりそうか、と思った。

一方で「自らの文化が生き続ける限り、その国は生きながらえる」というメッセージを掲げている博物館がある。アフガニスタン国立博物館だ。戦争で博物館は破壊され、多くの文化財が失われる中、博物館の職員たちが命がけで貴重な文化財を守り通した。「黄金のアフガニスタン」展(九州国立博物館では14日閉幕、東京国立博物館では4月12日から)のきらびやかな装飾品などがそれだ。いつの日か日本がこのメッセージを堂々と掲げられる国になってほしいとつくづく思った。

 

※情報は2016.2.16時点のものです

西島亜木子

九州国立博物館(福岡県太宰府市)企画課アソシエイトフェロー。銀行勤務を経て、米国に留学、陶芸を学ぶ。2013年より現職。展覧会での分かりやすい解説パネルや体験コーナー、イベントなど企画を担当。趣味は長距離ウオーク。

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