難聴の息子と親子3人 笑い絶えない家族に vol.13

妻へ

※前回の妻から夫へのコラム⇒https://fanfunfukuoka.com/feature/37327/

あなたから、分娩室に入るとの電話があり、その数時間後、お義母さんから電話があったのは、バイト先の外にある喫煙所で、真冬の暗くなった夕方の、痺れる寒さに耐えながら、「今、妻は痛みと闘って、頑張っとんや。俺もこれ位の寒さには耐えないけんぞ。一緒に耐えるぞ。この寒さに俺が耐えたら、元気な赤ちゃんが産まれる!」そんな訳の分からない事を考えながら、新宿の冷たいビル風の中、ブルブル震える手で、休憩中のたばこを吸っている時でした。

「無事に産まれました。」

待っていた言葉を聞いた時、私は、溢れ出る涙も拭わず、鼻をグスンと啜って、 「ありがとうございました。」と、泣きながら、震える声で、なぜか電話をくれたお義母さんに感謝の言葉を述べたのを覚えています。

そんな私に、電話の向こうのお義母さんの声も震えていた様に感じました。 本当に、嬉しかった。この事に嘘偽りはありません。

でも、すいません、お義母さん。私が泣いたのは、お義母さんに電話を貰ったからではないんです。 実は、その前から泣いていたんです。 だって、想像以上にその日は、風が冷たかったんです。それが目に刺さって、寒さで、涙が勝手に溢れ出てくるんです。電話中、鼻を啜っていたのも寒さのせいなんです。声が震えていたのも寒さのせいなんです。全部寒さがいけないんです。

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