酔っぱらいが多いスラムの地酒事情~モザンビーク便り~

わが町、モザンビーク共和国の北部、ペンバ市のスラムの路地を歩くと、必ずといっていいほど出会う。泥酔した人。ささっと避けて歩きます。

熟睡中

熟睡中

 

お酒を飲んでいるこの男性が数時間後には…

お酒を飲んでいるこの男性が数時間後には…

こうなっています。笑  なぜか、皆、足を広げて寝ています。

スラム地区に住むと「アルコール依存症と貧困」の関係を考えざるを得なくなります。

スラムの学舎・寺子屋を建てている最中でも、職人さんは仕事をしながらお酒を飲んでいます。まだ職があるのはいい方で、無職の人でも重い物を運ぶポーター(運搬人)をし、50円ほどもらうと、そのまま足はお酒を売っている場所へ。家を売って、そのお金をすべてお酒で使ってしまったというツワモノもいます。

モザンビークに限らず、世界的に学が無く、低所得もしくは無職の人において飲酒率が高いという研究結果もあるようですが、私はそこに「こころの隙間」を見てしまいます。勉強するでも、趣味に没頭するでも、仕事力を高めるでも何でも良い、自分自身の中から面白きことを創っていくことがないため、気持ちよくなれるお酒に逃げてしまう。同じように、異性と遊ぶことに逃げ、子供が出来たら、家庭を作ることから逃げ…という悪循環が生まれています。

これは経済的貧困が生み出したというよりも、精神的・知性的貧困が生み出しつづけている問題であり、やっぱり、幼いころからの教育が大切!

さて、スラムの酔っぱらいたちは、ほとんどが男性なのですが、彼らは何を飲んでいるのか?!

ビール(1瓶350ml 約100円)は高くて、常習できない。ワイン(1瓶 250ml 約120円)も然り。実は、彼らは、家庭で作られている地酒を飲んでいるのです。

コップ1杯が、10円~20円と安価に酔える、その名は、カバンガとニッパ。カバンガは伝統的な地酒で、トウモロコシの粒の皮と砂糖で作ります。

伝統的な地酒・カバンガは、トウモロコシの粒の皮と砂糖をぐつぐつ煮込み、数日寝かせて出来上がり。あまりにも早く1週間かからず出来るので、ほんとに発酵しているのか?!と今でも不思議です。出来上がりは甘酒のような色で、子供でも飲んでいたりします。

そして、蒸留酒・ニッパ。ニッパはトウモロコシの粒の皮やサトウキビ、それに砂糖を加えて、蒸留させるもので、この蒸留技術はポルトガルの植民地時代に入ってきたものです。

ニッパはカバンガよりも10円ほど高め。

右側のドラム缶で発酵させた材料をぐつぐつ煮込み、蒸気が真ん中の四角い水が入った蒸留装置を取って、黄色いボトルに蒸留酒が入る仕組み。

横から見ると、こんな感じになっています。出来上がりは麦茶とそっくりの色。

横から見ると、こんな感じになっています。出来上がりは麦茶とそっくりの色。

 

ニッパ大好きな寺子屋の近所のおじさん

ニッパ大好きな寺子屋の近所のおじさん

私は、お酒が飲めないので、カバンガもニッパも飲んだことがないのですが、アルコール度数はどれぐらいあるのか…いつか調べてみたいです。

そうそう、去年、モザンビークの村で葬儀で振る舞われた自家製の酒を飲んだ69人が死亡、196人が病院に運ばれた。というニュースがありました。

何らかの毒性物質に汚染されていたとか、誰かが毒を入れたとか、原因不明でしたが、珍しいニュースではないので、アフリカを旅行される際は、安易に地酒を飲まないように気をつけてくださいっ。

※情報は2016.6.1時点のものです

榎本恵

アフリカ南東部のモザンビークで、教育支援や人材支援、環境保全、公衆衛生設備などに取り組む。日本とモザンビークの相互理解のためのイベントなども開催。モザンビークのいのちをつなぐ会代表。http://www.tsunagukai.com/

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