【方言ぽっこり】方言一問一答

「あてどんががまだし行っちょる間に朝ごはんば食べちょかんねね。」

農家の朝は、早いけんね!

 

以前帰省した際に、家族で方言の一問一答をしたことがあります。
ネット検索でヒットした「うきは弁(筑後弁の範疇)」一覧を囲んで、英単語のテストのように、これはどんな意味か、といった問題を出し合うのです。
これが、大変盛り上がりました。

一番の正解者はもちろん、生まれも育ちも地元の父で、次いで久留米から嫁いできた母となりました。
私も地元育ちなのに、まったく聞いたことのない単語もあって、「世代の違い」に大いに興味をそそられました。

 

しかし、そんな盛り上がる家族の中、福岡市内から嫁いできた兄の嫁が、どこか浮かない表情で話を聞いています。

いったいどうしたのか尋ねたところ、衝撃の告白がきました。

 

「お義母さんたちが何を言ってるのか、本当はほとんど分かってなかったんですー!」

 

な、何ですとー!?
まさかの発言に、一同仰天。
嫁いできて早数年、うちの両親の方言が強すぎて、話しかけられた内容がニュアンスでしか分かっていなかったらしい、兄の嫁。
いちいち聞いてしまうと、両親の手を煩わせてしまうからと、持ち前の繊細さと、臨機応変の対応で、なんとか乗り切っていたと。
これを機会にやっと理解できて、密かに感動したらしいです。
ほっとした姿が健気すぎて、きゅんとしました。

 

「そげん気にせんちゃ、めんめん話しやすかごつ話せばよかがー。」

最後に父のナイスフォローが入りましたが、結局これも翻訳が必要になり、笑いの絶えない話題になりました。

 

最近メディアでよく、「告白されたい方言」なんてテーマで、博多弁が取り扱われるせいなのか、
福岡出身であることを話すとすぐに、「方言でしゃべって!」という流れにもなることがあります。
方言は、口頭言語、音声言語です。
相手がいないのに、一人だけ方言を話すのは、これが意外と難しい。
そもそも私は、博多弁は話せないので、ご期待に添えかねますし。

同じ福岡といえども、地域が変われば方言もがらりと変わりますよね。
川向こうの街の人と話すだけでも、「あ、自分の方言と違う!」と感じた経験がある方も多いと思います。

 

そして、方言には「世代」があります。これは福岡に限ったことではありません。
両親とも、子供たちとも微妙に違ってくる。変化することが当たり前。
その変化のただ中の言葉を、私たちは遣っています。

 

伝達手段の発達で、メールなどでの頻繁な文字のやりとりが、方言から「口頭伝達」の良さを少なくさせてしまっているように感じます。
文字としての表現には向かないのが方言ですから、どうしても標準語に近くなってしまうのは、仕方のないことなのかも知れません。

 

方言の一問一答。
その中には、自分たちの世代ではもう使われていない、「失われた」言葉もたくさん出てくると思います。
そんな方言に、少しの寂しさと、そして愛しさを感じられるかもしれません。
ぜひ、誰かと試してみてはいかがでしょうか。

 

 

[あて【一人称・代名詞】
私、の意味。

どん【接尾】
複数形を表す。

あてどん=あて+どん=私たち]

[がまだす【動詞】
働く、の意味。]

[めんめん【名詞】
それぞれ、おのおの、の意味。
「めいめい」からの変化?]

 

【隔週月曜日更新】

次は、3月17日やけんね、覚えちょってね

※情報は2014.3.3時点のものです

久保田美栄

1982年生まれ。福岡県うきは市出身。高校卒業後、上京。
在京13年を経て、筑後弁と標準語を使い分ける『方言バイリンガル』に。
現在は、東京にて映像制作の仕事に就く。

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