【方言ぽっこり】こわいはなし

「雪道の運転は、えじかー。」

この冬、東日本はひどい雪に見舞われましたが、春はもうすぐそこ!

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東京では基本的に標準語を話す私ですが、時折ひょっこり方言が顔を出します。

「昨日すっごい重いモノ持ったからさぁ、腕がこわってる!」

だとか、

「このリュックからいやすいね。」

だとか。

 

そういう時はたいてい、一緒に話している人が「何を言っているのか分からない」という顔をするので、「あ、今の方言だったのか!」と自分で気づくことができるのですが、
紛らわしいのが、

標準語と同じ発音なのに、意味が違う単語を遣ってしまった時です。

私「この資料、なおしといてもらっていい?」

後輩「どこですか?」

私「あった所。」

後輩「えっ?」

私「えっ?」

このやりとりを、半年に一回やってしまいます。

お分かりでしょうか。

私が言いたかったのは、「この資料、片づけてもらっていい?」なのに、後輩には「この資料、修正してもらっていい?」と聞こえてしまっていたわけです。

これぞ、本当にあった奇妙な話。

他の方言はもうほとんど出ることはないのに、

この「なおす=片づける」だけが抜けてくれません。

しかも、意味は違うのに通じるからややこしい!

最近では周囲の人も慣れてきてくれてはいるのですが、そうするとこんな弊害も生まれてきます。

私「この資料、直しといてもらっていい?」

後輩「どこにあったんでしたっけ。」

私「違う!修正だよ!」

後輩「えっ?」

漢字で会話することはできません。
まったく、ややこしい!

 

他地方の方言にも、やっぱり似たような場合があるそうです。
たとえば、「こわい」。

私たちが聞いたら、「こわい」は「怖い=えずい、えじー」ですよね。
しかしこれが東北地方になると、「こわい=疲れた」となるそうで。
そうなると、もし福岡(筑後)、東京、東北の3人が、肉体労働のあとに会話することになったとしたら、

東京「あーもう、疲れたー。」

福岡「あーもう、えらいだれたー。」

東北「あーもう、こわいこわい。」

福岡・東京「「えっ?」」

東北「えっ?」

 

ややこしいことこの上なしです。
他にも、各地で「こわい」はその意味を変えているようで、
東日本では、硬いものを「こわい」と言う地域が多くあります。主にお年寄りが多いそうです。
これは方言というよりも、古くからある漢字の「強い(こわい)」の読みと意味が、現代まで残った一例のようです。

食べ物の「おこわ」の語源も同じなんだとか。
他にも、「濃い」を「こわい」と呼ぶ地域もあったり。

 

アメイジング方言。
みなさんも、他地方に行く機会があったら、誤解を招かないようにくれぐれもご注意ください。

 

[こわる【動詞】
筋肉痛になる、の意。
こわばる、からの変化か。
ただし、肩がこる、のときには遣わない。]

[からう【動詞
背負う、の意。]

[だれる【動詞】
疲れた、の意。
くたびれた、からの変化か。]

 

【隔週月曜日更新】

次は、4月14日ばい。春やね。

※情報は2014.3.31時点のものです

久保田美栄

1982年生まれ。福岡県うきは市出身。高校卒業後、上京。
在京13年を経て、筑後弁と標準語を使い分ける『方言バイリンガル』に。
現在は、東京にて映像制作の仕事に就く。

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