昭和の温もりとおふくろの味 半世紀続く人気ラーメン店「長尾亭」

料理のおいしさは、料理人の腕はもちろんだが、作り手の心によるものも大きいと思う。福岡市城南区樋井川の「長尾亭」のラーメンをすすりながらそんなことを思った。

ラーメン食堂兼居酒屋。天神や博多などアクセスが良い場所にあるわけではないが、わざわざ遠くから訪れる人もいる人気店。昭和の風情が残っているお店の中へ入ると、「いらっしゃいませ」と温かい声で迎えられた。

店を切り盛りするのは、河野澄子さんと長女の古川かずこさんの母娘。「長尾亭」は1968年、澄子さんの夫・博文さん(2000年に他界)が体調を崩したのをきっかけに、知人の勧めで店を始めたそうだ。まもなく半世紀を迎えるが、創業当時と変わらない味と温かい雰囲気が人気の理由だろう。

河野澄子さん(左)と古川かずこさん

河野澄子さん(左)と古川かずこさん

創業当時は夜のみ営業の屋台だったそうで、澄子さんは午前6時まで店に立つこともあったとか。24時間営業のレストランがない時代、深夜まで残業した会社員たちが天神からタクシーで訪れることも少なくなかったという。

イラストレーターの品原克行さんが描いた創業時の「長尾亭」

イラストレーターの品原克行さんが描いた創業時の「長尾亭」

 

当時の「長尾亭」の様子を山形のペーパークラフト作家 中村隆行さんが再現した作品

「(当時は)夜遅くまで賑やかで笑いが絶えませんでした」と澄子さん。澄子さんは、昨年11月に左肩を脱臼し、3カ月入院。今年の盆明けに復帰し、今は昼の営業時間に1日おきに店に出ているが、かずこさんは「親子2代のお客さんや、里帰りしたときに訪ねてくれるお客さんの存在が母の励みになっている」と話す。

さて、注目のラーメンについて。自慢のスープは豚と鶏の骨を5時間近く炊いたものだとか。

スープを飲んで、一言。「おいしい!」。予想以上にあっさりしていて、細麺によくなじむ。スープを飲み干す人やスープのみ注文する人もいるというが、よく分かる。

昔ながらの味というか、懐かしい「おふくろの味」。自家製チャーシューも最高のおいしさ。ビールを飲みたくなるが、ここはぐっと我慢。ラーメンに続き人気の餃子を注文した。

一口餃子がまた絶品!(ますますビールが飲みたい!)外はカリッと、中はジューシー。手作りならではの美味しさを感じた。

「おいしいです!」と告げると、「ありがとうございます」と満面の笑みで応えてくれる澄子さん。この優しさと温かさが隠し味なのかもしれないと思った。

澄子さんの元気の秘訣は「くよくよしない、なるようになる」の精神。三味線や民謡、卓球など習い事にも通っているらしい。

あと2年で開店50年。半世紀変わらない味と雰囲気を保ち続ける「長尾亭」。おふくろの味、家庭の雰囲気が恋しくなったら、ぜひ立ち寄ってほしい。

盆正月以外は営業。昼は午前11時半~午後2時、夜は午後6時~午前3時。日祝日は、昼夜通しで営業。

長尾亭=092-511-3335。

福岡市城南区樋井川3丁目17-15

※情報は2016.10.16時点のものです

長尾亭

住所福岡市城南区樋井川3丁目17−15
TEL092(511)3335

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