【方言ぽっこり】離合困難?

「車がなかと、どっこん行けん。」

田舎に車はマストアイテム!

 

「離合(りごう)」という言葉をご存知ですか?

意味としては、狭い道を運転していて対向車が来たときに、徐行したりバックしたりしてお互いに上手くすれ違うこと、という風に私は理解しております。
運転免許をお持ちの方だったら、一度はそういった場面に遭遇したことがあるのではないのでしょうか。

「あすこん道はえらい狭いけん、離合が難しいっちゃんね。」

 

こんな感じで遣います。
しかしこれが通じるのは、九州を飛び出して、関西までです。
東日本では、まったく通じません。
「りごう?なにそれ?」となるわけです。

標準語だと思ってたのに、すわ方言か!?
と食いついて、多少調べてみたところ、これが一癖も二癖もある言葉だということが分かりました。

 

まず、「離合」という言葉は、標準語として存在します。しかも、鉄道用語。

 

某インターネット百科事典によると、
『鉄道の単線区間の停車場(駅または信号場)において列車同士が行き違い(離合)することである。』
とあります。

なるほど、シチュエーションはほとんど同じだけれど、私たちの認識では、鉄道ではなく車でのすれ違いに限定されますよね。
しかも、それなりに幅のある、簡単に対向車とすれ違える道だったら、「離合する」は遣わない。
やはり、微妙にニュアンスが違ってきます。

 

そして、漢字に変換できるということが、私が標準語だと勘違いしていた一番大きな要因です。
思い浮かべてください。漢字に変換できる方言がありますか?
それが漢字で書かれていたら、「いかにも私、標準語ですが?」と、どや顔で言っているようなものじゃないですか。

しかも、注意書きとして看板に書かれてることもある。
ということは、東日本出身者が九州の道路を運転していて、

『幅員狭小、離合困難』

と書かれた看板を見ても、「なんのこと?」となってしまい、果敢にもその道にチャレンジしちゃう可能性だってあるのです。

 

通用する地域が限定される言語が方言だとするならば、この「離合」は方言に当てはまるのかもしれません。
けれど、西日本という広大な地域で遣われているものを、一概に方言と呼んでいいものか。
でも、全国で通じないなら、やっぱり方言?

見解が着地しない言葉なんて珍しい!と、にわかに興奮しています。
もういっそのこと、国語辞典の「離合」の項目に私たちの慣れ親しんだ意味を載せてしまえばいいのに!
九州・西日本発の言葉が、標準語に格上げ!方言の下剋上?わお!

離合。便利な言葉だと思うんだけどな。

何はともあれ、離合しなきゃいけないような道を通る際は、どうぞ安全運転で!

 

 

【隔週月曜日更新】

次は、4月28日にぽっこり出るけん!

※情報は2014.4.14時点のものです

久保田美栄

1982年生まれ。福岡県うきは市出身。高校卒業後、上京。
在京13年を経て、筑後弁と標準語を使い分ける『方言バイリンガル』に。
現在は、東京にて映像制作の仕事に就く。

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