【N氏の観劇日記】万能グローブ ガラパゴスダイナモス「月ろけっと」(2016.12)

ファンファン福岡の人気連載「福岡グルメ小説・N氏の晩餐」でおなじみ、謎の通人“N氏”による観劇レポートをお届けします。

福岡グルメ小説・N氏の晩餐

2016年12月9日(金)19:30開演

万能グローブ ガラパゴスダイナモス第22回公演「月ろけっと」

@ぽんプラザホール

福岡を拠点とする若手の劇団で観客動員NO.1を誇る”ガラパ”こと「万能グローブ ガラパゴスダイナモス」。

結成12年目を迎え、福岡だけでなく東京はじめ他都市でも公演を打てる実力と知名度を身につけてきた。

 第22回公演の会場「ぽんプラザホール」は、福岡市水道局が管理するポンプ場に併設された演劇専用劇場。こうした形態の公共施設は全国でもあまり例がない。

人荷兼用の大きなエレベーターで4階へ。受付でチケットを購入して劇場内に入ると客席100席ちょっとのこじんまりした空間が広がる。天井が高いので圧迫感は全くなく、それでいて箱が小さいので、舞台がかなり近く感じる。

舞台上には、洋館のリビングと思わしきセットが。

幾何学模様の入った床の上には、格調高いテーブル、椅子、ソファ、燭台が載った棚などが配置され、壁にはバロック調の絵画が1枚。そして正面に小さな窓が一つ。そのわきにはステレオスピーカーが置いてあるので、時代設定は現代かそう遠くない未来なのだろう。

 

19時半開演。

超至近距離で9人の登場人物が躍動する。

荒唐無稽なようで、実は綿密に計算され尽くされたストーリー展開に、心地よく引きずり込まれていき、衝撃のラストシーンに到達。

あっという間の2時間。これぞ“ガラパワールド”の真骨頂ともいうべき最新作。しばらく、椅子から立てなかった。

冒頭に「晴れの日に雨が降ることは“狐の嫁入り”、雨の日に月が出ることは・・・」というくだりがある。「この舞台ではこれから”常識的にはありえないこと”を演じますよ」というサインととらえた。「常識的にはありえないことが、実際に起こっている現代社会」。それが今回の作品のテーマだ。

経済至上主義、家族のあり方やライフスタイルの変容、物質があふれ時間に追われ、多様化する価値観を受け入れることが求められている。その一方で、個人個人の気持ちがその時代や社会の要求についていけてない…というありさまをシチュエーションコメディという柔らかな手法を使って暗示させている。お見事。

現代日本に生きる人々は地に足がついていない。そのことを揶揄して「月ろけっと」という無重力なタイトルをつけたとしたら・・・。考えすぎか。

公演終了後に来年5月の「星降る夜になったら」のチケットを入手。最前列のプラチナチケットが枚数限定、しかも割引で販売されていて迷わず即買い。

2013年に客席数300のイムズホールで上演されたガラパ代表作の再演。会場が1200席のキャナルシティ劇場だけに、あの若者の青春の輝きに満ちあふれた作品がどのようなスケールで演じられるのか、非常に楽しみだ。

※万能グローブ ガラパゴスダイナモス「月ろけっと」4都市ツアー公演

 

※情報は2016.12.11時点のものです

AKASAKA BOY

謎のライター

1978年福岡市赤坂生まれ。福岡の街の魅力を小説形式で発信中☆

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