【久保 巴】歌を詠んでいたから見いだされた私 冬をしのんで咲くやこの花

難波津に咲くやこの花冬ごもり今は春べと咲くやこの花

和邇吉師

仁徳天皇には弟がいて、時の天皇だった父は、弟の方を天皇にしたいと思っていたそうだ。その父が亡くなり、天皇不在で世が不安定だったころ、弟の家庭教師だった和邇吉師(王仁)が仁徳天皇に贈ったとされるのが、この和歌。

 

「そろそろあなたも、花を咲かせるときが来たんじゃないですか」。そんな意味の込められたこの歌が後押しとなって、仁徳天皇は天皇に即位したという物語が伝わっている。この歌を贈られた仁徳天皇は、どんな気持ちだったんだろう。

和歌には、歌人の生きた時代背景や、さまざまな逸話から、多様な解釈があるけれど、私は今の私に一番しっくりくる解釈から、歌に思いをはせたいと思う。

 

何かを伝えるのが苦手な私には、五七五七七に思いが凝縮される和歌は、多くを語る必要がないといわれているようでずっと心地良かった。いろんなことを頑張ったり、投げ出したりしてきた中で、ただ一つ「当たり前」にしてきたことが歌を詠むことだった。

 

仁徳天皇も、父に愛されていないと感じる日々の中で、何か当たり前にしていたことがあって、和邇吉師は、そこに天皇の器を見いだしたんじゃないだろうか。

 

今回、短歌を織り交ぜてコラムを書いてみませんかとの話をいただいた。自分が当たり前にやってきたことを見いだされる喜び。私は「奇跡」以外に呼べる言葉を見つけられない。

私をこんな機会に導いてくれた全てに、ありったけの感謝を込めて、返歌を。

雪解けの沸き立つ風に花も舞う冬をしのんで咲くやこの花

久保巴

from西日本新聞「わたし活性化計画」面

※情報は2014.4.19時点のものです

久保 巴

1982年生まれ。山口県出身。元介護士。古典、歴史好きが高じて趣味で短歌を詠む。全くの我流。ウェブサイトFan Fun Fukuokaでも、短歌を詠みながらコラム掲載中。返歌とか来たらどうしようかとワクワクしている。

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