多久島法子の能♡lesson 5 「山姥 やまんば」

今回は能の演目を1曲ご紹介したいと思います。

曲目は「山姥 やまんば」です。

 

実はこの「山姥」少し哲学的で難しい曲なのですが

山姥の魅力をお伝えしたいと思います。

 

山姥が山巡りする様子を作曲し(山姥の曲舞(くせまい))一躍有名になった

「百万山姥(ひゃくまやまんば」と呼ばれる遊女がいました。

ある日、その遊女が歩いていると

昼だというのに急に辺りが真っ暗になります。

そして、その遊女の前に突然一人の女が現れます。

その女は、実は自分が本当の山姥であることを明かし

月が昇った頃に謡ってくれるなら、真の山姥の姿を現して舞ってあげましょう!

と告げて消えてしまいます。

遊女が約束どおり月が昇った頃「山姥の曲舞」を謡い始めると、

正真正銘の山姥(主役)が現れます。山姥は、深い山や渓谷を山巡りする、真の「山巡りの舞」を見せます

 

「山姥は人を助けるもの。

山の花陰に休む木こりの荷物に肩を貸したり、

月が出るのと共に里まで送ってあげ

またある時は、機織り機のある家で糸を繰るのを手伝ったり。

ただ、賤しいひとには理解されず、鬼だとか言われてしまう。」

想いの届かない哀しい自分の生涯を語り、

世の在り方から仏法の摂理まで哲学的に解き明かします。

「都の人達に伝えて欲しい。

このように想うことも妄執なのですか

何事も打ち捨てて、善し悪しに惑いながら山巡りすることはとても苦しいのです。」

山の生気が仮の姿となって現れ、この自然界の中にこそ真理があると言い

それを求めて、いつ終わるともなく永遠に山巡りする。

それが「山姥」なんだと。

人間が輪廻を彷徨う姿と同じで、山姥の妄執は尽きることなく続く・・・。

輪廻の妄執からは逃れられず、妄執の塵が積って山姥となった姿を

見るか、見るかと言いながら

峰を翔り、谷に音を響かせて、やがてその姿は行方知れず消え失せてしまうのでした。

以上が山姥の物語の内容です。

 

舞台で何を言っているのか聞き取り理解するのは、特にこの山姥は難しいと思います。

しかし皆さん! 是非能楽堂に来て想像しながら観て下さい。

月の浮かぶ山々の情景のなか、超自然の存在が哀しくも力強く生き抜く有様を!

そういえば、山姥ギャルという一世を風靡した女子たちが居ましたね!

そう考えてみると、山姥・・・結構日本人には馴染みのある存在なのですね(笑)

いやいや・・・ギャルの方を想像してみないように気をつけて下さい!

5月3日に「嘯風会(しょうふうかい)春の会」

という、能教室の生徒さんの発表会があります。

(残念ながらまだ、ほぼ父の生徒さんですが。)

その日の最後に番外の演目として師匠・父親・私の

三人が短い舞いを披露します。

今回ご紹介した舞囃子「山姥」を私が30分程の

良いとこ取りで上演致します。

☆マークの所からを上演します。

時間は午後5時頃の予定です。入場無料ですので

能はなかなか・・・という方!

師匠と父の演目それぞれ5分づつを含めても45分くらいですから

能楽初心者にはもってこいです。

 

檜の香り漂う荘厳な空間でいざ!

能楽デビューしませんか!?

(舞囃子とは、楽器の演奏と謡をバックに紋付袴姿で舞を舞うことです。)

 【月2回更新予定】

※情報は2014.4.29時点のものです

多久島法子

能楽師 シテ方 観世流。

1981年生まれ。全国でも数少ない若手女性プロ。東京芸術大学音楽部邦楽科能楽専攻で、最優秀者に与えられる「安宅賞」を受賞。父親は能楽師の多久島利之さん。

多久島さんのインタビュー記事:https://fanfunfukuoka.com/people/3535/

多久島さんのブログ:

http://nohnishitashimukai.blog130.fc2.com/

能楽師 多久島 法子さんのfacebook:

https://www.facebook.com/nri.tkm

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