半身不随の弁護士&小説家が社会人生活を再開!「手袋が先か靴下が先か」vol.2

42歳、半身不随の弁護士&小説家がいよいよ社会人生活を再開する!

車椅子には「LOCK’n’ROLL」

弁護士であり、小説家としても活躍する法坂一広さんは、脳出血で倒れて半身不随となってしまう。

退院後、社会復帰を果たした法坂さんを待ち受けていたのは・・・

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vol.2/手袋が先か靴下が先か

退院した頃は冬だったので、外出すると杖を持つ右手が冷たくなります。手袋をはめる必要がありましたが、左手が動かないと難しい。右足の指を使えばなんとかなりますが、そのためには裸足でないといけないし。手袋はめた手で靴下を履くのにも違和感があります。ということで、靴下が先か手袋が先か、なんて悩むことに。普通悩むことじゃありませんよね。手袋は外すときにも一苦労。指先をかんで、『スチュワーデス物語』のあのシーンのように外します。こんなに古い話、通じるかどうか。

寒さは僕の腕に不思議な現象を起こしました。肩の関節はもともと、股関節のように骨がきちんとはまっておらず、筋肉で支える構造です。病気で弛緩性の麻痺があったため、その頃は肩の筋肉が緩んで亜脱臼状態になっていました。それがあまりの寒さで筋肉の緊張が高まり、ほんの少し肩がはまったのです。ただ、温かくなると、また外れました。

ちなみに、足はクローヌスという特殊な痙攣が激しくて、エレベーターが止まりそうな勢い。痙攣とはいえ動いているから、動かないよりはましでしょう。

寒い時期といえば、こたつ。退院してから“人間を堕落させる”こたつに「なんとか入りたい」とほぞをかんでいました。床からの立ち座りはなかなか難しく、半年のリハビリでも完全にマスターできていません。ずっとベッドや椅子の高さで立ち座りする生活でした。

理学療法士さんに相談すると「テーブルこたつという手もありますよ」なんて。そんな、潜り込んでテレビを見ながらうたた寝して堕落するのがこたつの醍醐味でしょう。こたつに入るために床からの立ち座り、マスターしました。がんばりましたよ、オレ。社会に戻ってからがリハビリ本番と言われたけれど、本当ですね。堕落するためには努力は惜しみません。それがロックスピリットですから。

 

Profile

法坂一広(ほうさか いっこう)

福岡市在住の弁護士、小説家。2011年に第10回「このミステリーがすごい!」大賞の大賞を受賞し、弁護士探偵物語シリーズを執筆。2015年に脳出血で倒れ、翌16年に仕事を本格的に再開。「もう乗らない」と車椅子をLOCKして(鍵をかけて)、マラソン大会復帰を目指す。最新作は「ダーティ・ワーク」(幻冬舎文庫、2015年)、西日本新聞社「のぼろ」で連載中。

 

※情報は2017.4.27時点のものです

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