半身不随の弁護士&小説家が社会人生活を再開!「札束持って天国への階段」vol.3

42歳、半身不随の弁護士&小説家がいよいよ社会人生活を再開する!

車椅子には「LOCK’n’ROLL」

弁護士であり、小説家としても活躍する法坂一広さんは、脳出血で倒れて半身不随となってしまう。

退院後、社会復帰を果たした法坂さんを待ち受けていたのは・・・

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vol.3/札束持って天国への階段

病気をする前は、100キロマラソンの後のひどい筋肉痛で階段に苦労することもありましたが、きついのは上りよりも下りです。リハビリのかいもあって、階段は右手で手すりを持てば上り下り問題ないくらいにはなりました。

最近は、公共の場所はたいていちゃんと手すりくらいはあるのですが、たまに、片方にしかないところもあります。上りで左にしかないときは横向きで右手で手すり持ってカニ歩きのように上れば何とかオーケー。もう少し苦労するのが下り向きで左にしか手すりないパターン。仕方がないので後ろ向きになって、右手で手すり持って後退します。はたから見ると、危なっかしいようですが、本人にはこれが一番安定しているので、勘弁してください。病気してからも前向きに生きてきましたが、このときだけは後ろ向きです。

病気して一年が経った頃、仕事で担当していた事件で、相手方が解決を急いでいたらしく、示談金200万円を現金で持ってくることになりました。受け取った後、そのまま銀行に行って依頼者に送金することに。ATMではそんな金額送金できないことはわかっていたので、3時までに窓口に行かないといけません。普通に歩いても30分ほどかかるのに、相手が帰ったのが午後2時。ぎりぎりの時間でした。

事務所を出たら、なんと一機しかないエレベーターが点検中。ウチの事務所は7階、手すりもなく急な階段です。30分かけて下まで降り、銀行へ急ぐと、金額が大きすぎて身分証明がないと送金できません。忘れていました。「もう何年この仕事やってるんですか」「コーラ買ってあげるから許してください」なんてやり取りを事務員さんとしながら、ICUでコーラ飲みたいと涙ぐんだ一年前を思い出します。今は一汗かいてコーラなんて極楽気分。いい意味で天国への階段です。ここでBGMはレッドツェッペリンのロックバラードの名曲をお願いしますね。

 

Profile

法坂一広(ほうさか いっこう)

福岡市在住の弁護士、小説家。2011年に第10回「このミステリーがすごい!」大賞の大賞を受賞し、弁護士探偵物語シリーズを執筆。2015年に脳出血で倒れ、翌16年に仕事を本格的に再開。「もう乗らない」と車椅子をLOCKして(鍵をかけて)、マラソン大会復帰を目指す。最新作は「ダーティ・ワーク」(幻冬舎文庫、2015年)、西日本新聞社「のぼろ」で連載中。

 

※情報は2017.5.11時点のものです

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