【穂高ゆう】「下級生は壁伝いに歩く」決まり事をこなすうち敬う気持ちも身について

宝塚音楽学校の1年目(予科生)は、まさにイバラの道。とにかく謎めいた決まり事が山のようにあります。

例えば「壁伝いに歩く、直角に曲がる」というもの。これは「肩が壁から離れてはいけない」という決まり事があるからなのです。これだけ聞くと「???」。そのまま実行すると、壁から離れることができず、曲がるときにも壁に沿って直角にしか曲がれない!当時は「上級生にご注意をされないように」ということしか頭になく、言われた通りにこなすことが全てでした。

壁伝いに歩くことって大変なんです…

壁伝いに歩くことって大変なんです…

ひたすら壁に沿って端を歩く日々。実はこの「壁伝いに歩く」という行動には「目上の方を敬う」という教えがこめられています。端は下級生、中央は先生やお客さま、本科生の方が通るところ。それを身体、行動で覚えるための決まり事だったのです。不思議なもので、最初は「ご注意されないための行動」だったのが、ある時点から「敬う気持ちも理解した行動」へと変わっていきました。

この教えは歌劇団に入ってから役立ちました。学校は一つ上の上級生だけですが、劇団に入ると人数も増え、はるか上の上級生の方々との団体行動となります。上級生を優先し、端へよける行動がすぐに実行できると、あらゆる場面で物事がスムーズに運ぶのです。

イバラの道で身についた敬う気持ちと行動はタカラジェンヌにとって必須。予科生活を振り返ると、頭で理解してからよりは、まず行動することから敬う気持ちの多くを学んだ気がします。当時の宝塚音楽学校の壁には、塗装のはげ落ちた跡が続いていました。代々、予科生が壁伝えに端を歩いてきた証しなのです。

※情報は2014.5.31時点のものです

穂高 ゆう

元宝塚歌劇団男役(78期生)。ボーカリストのほか、宝塚での経験をもとにした講演、姿勢とウォーキングを中心に心と身体を美しく健康に保つためのワークショップなど活動中。福岡県うきは市出身で「うきはふるさと大使」も務める。

穂高さんのインタビューはこちら⇒https://fanfunfukuoka.com/people/2890/

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