【名状しがたい】奥深さ~とかく言葉は面白い。

ことば遊びは愉快です。

新しい単語を創出したり、単語に本来とは別の意味を加えたりする遊びです。子供っぽいと思われがちですが、その実、非常に知的な遊びです。

トランプ大統領が、昨夜、ことば遊びをしました。彼はツイッター上でcovfefeと呟きました。実際にはcovfefeという単語は存在しません。ただの入力ミスです。が、この入力ミスにフォロワーが盛り上がりました。現在、ツイッター上ではcovfefeに関する投稿が続いており、グローバルなことば遊びと化しています。

私もことば遊びします。例えば、革命という名詞を形容詞化し、【あの人の睫毛エクステは革命しているね】とか、【このスケジュールは革命し過ぎているよ】などと表現します。初めて聞くと困惑し、色々と考えますが、慣れてくると次第に意味が理解できます。このように、ことば遊びは相手の想像力を刺激し、意味を理解したあとでは暗号として利用できるものなのであります。トランプ大統領のツイートからそんなことを考えているうちに、ふと、ある日本語の表現を思い出しました。

 

【名状しがたい】という表現があります。例えようのない、言葉で表現できない、という意味です。純文学作品ではよく見かける表現なのですが、これは際どい言葉です。名状しがたいというのは、つまりは表現できないとう意味です。表現者たる作家が表現できませんというのは、つまりは敗北宣言でもあります。ということは二流作家が用いる表現なのかというと、それは断じてありません。何故なら名著として受け継がれてきた作品の中で多用されている表現であるし、なにより読み手の私がこの【名状しがたい】に出くわしたときに、感動を抱くからです。では何故、私は感動するのか。名著では、【名状しがたい】が登場するまでに、緻密な文章が続いています。細かく表現され、練り上げられたストーリーの果てに、【名状しがたい】が現れます。その【名状しがたい】の内容は、読み手が想像して結論づけるものです。つまりは作家が繊細に作り上げた世界の結果として、読み手に表現を託すというものなのです。これゆえに、名著の【名状しがたい】に私は感動するのです。

想像を掻き立てるという意味では、名著でなくとも味わえます。ひとりの美人を表現するとして、【天使のような美しさ】と【名状しがたい美しさ】では随分と印象が違います。名状しがたい美しさの場合は、その人の主観と好みが反映されるので、どういう美人を想像するのかは千差万別です。敢えて美しさを形容しないことで、何千通りの美人が想像されること。これって、わくわくします。

 

なんでも表現すればよいというものではない。知ることは必ずしも幸せとは限らない。言葉の最後を省くことで、多種多様な想像が出来ること。とかく言葉は面白いのです。

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※情報は2017.6.1時点のものです

カミーユ綾香

北九州市出身。在日韓国人と中国残留孤児の多く住む多国籍な街で育つ。 警固インターナショナルの代表として、十数言語による語学スクールとインバウンド支援の多言語ウェブサイト制作会社を運営する一方、難病の重症筋無力症とパンセクシュアルというセクシュアリティの当事者として、様々なマイノリティの生きやすい社会を目指して精力的に活動中。http://www.kego-international.com/

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