【N氏の観劇日記】初夏を彩る華やかな競演「六月博多座大歌舞伎」

2017年6月5日(月) 11:00開演

六月博多座大歌舞伎(昼の部)

博多座で2月と6月は歌舞伎の月。今年の六月大歌舞伎は、中村橋之助改め八代目中村芝翫、中村国生改め四代目中村橋之助、中村宗生改め三代目中村福之助、中村宜生改め四代目中村歌之助の親子四人同時襲名。

客席に入るとまず目に飛び込んでくるのが舞台に掛かる祝い幕。華やかでスタイリッシュなデザインが印象的で、劇場内が襲名披露公演ならではの興奮、期待感に包まれている。

昼の部の一番目は「車引(くるまびき)」。平安時代の右大臣・菅原道真の失脚事件にまつわるエピソードが盛り込まれた「菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅ てならいかがみ)」の一部。壮絶な権力争いに巻き込まれた三兄弟の悲哀が情感豊かに表現される。華やかな衣装と舞台の設え。歌舞伎の醍醐味が濃縮された一幕。

二番目は舞踊「藤娘」。藤の花の妖精が美しい娘の姿に変化(へんげ)し、可憐にそして華麗に舞うファンタジー。場面に応じて表情までも変えてみせる尾上菊之助の艶やかで情感あふれる舞いに一時も目が離せない一幕。

三番目は「毛谷村(けやむら)」。明智光秀の残党の暗躍と豊臣秀吉の朝鮮出兵を背景に、天正 14 (1586) 年に起きたといわれる毛谷村六助の仇討ち伝説を脚色した「彦山権現誓助剣(ひこさんごんげん ちかいのすけだち)」の一部。剣豪・毛谷村六助の「気は優しくて力持ち」を地で行く魅力的な人柄が、人間国宝・尾上菊五郎により見事に表現され、愛をもって生きることの素晴らしさを体感できる一幕。

四番目は「河内山(こうちやま)」。江戸を舞台に活躍する6人の悪党を描いた「天花粉上野初花(くもにまごう うえののはつはな)」の一部。

主人公は江戸城に仕える茶坊主・河内山宗俊。大胆不敵、悪戯っ子がそのまま大人になったようなキュートな人物。旧知の商家に寄った河内山は、大名屋敷に仕えるその家の娘が窮地に陥っていることを知り、一世一代の芝居を打つことを決意。客席にいるものすべてが息を飲んで見守る、スリリングな救出劇。河内山を演じる八代目中村芝翫の堂々とした姿が強く印象に残る一幕。

歌舞伎の面白さは、純粋に目で見て、耳で聞いて楽しめる趣向と、時代は変われども人の世には必ずついて回る、愛おしさ、憎さ、辛さ、楽しさなどの感情を共感できるところ。劇場で貸し出されるイヤホンガイドを耳に舞台に目を向ければ、難しいこと、ややこしいことなど一切ない。

夜の部は演目が替わり、親子四名での連獅子や襲名披露ならではの口上が予定されている。ぜひ足を運んで、博多座ならではの「歌舞伎の月」を満喫したい。


■ファンファン福岡の博多座関連情報■

【公演情報】『六月博多座大歌舞伎』 八代目中村芝翫 鏡開きで勢いよく初日開幕!

【公演情報】六月博多座大歌舞伎公演目前!「船乗り込み」完全リポート

【公演情報】六月博多座大歌舞伎―芝翫親子 4人同時襲名 震災復興・公演成功祈願でお練り

【まちネタ】床にアンモナイト、照明にシンボルマーク…博多座のトリビア発見!

【小説】福岡グルメ小説“N氏の晩餐”/「博多座」で初めての歌舞伎と劇場グルメ

【小説】博多の街を舞台に繰り広げられるヒューマンドラマ『博多座日和』

 

※情報は2017.6.12時点のものです

博多座

住所福岡市博多区下川端町2-1
TEL092-263-5858
URLhttp://www.hakataza.co.jp/

大きい地図で見る

AKASAKA BOY

謎のライター

1978年福岡市赤坂生まれ。福岡の街の魅力を小説形式で発信中☆

関連タグ

この記事もおすすめ